大腸がんからの復帰を目指す阪神原口文仁捕手(27)が7日、西宮市内の鳴尾浜球場で2軍全体練習に手術後初めて参加した。

フリー打撃やバント練習などの打撃メニューのほか、シートノックにも他のナインとともに汗を流した。完全復活への道を歩む男が、また大きな1歩を刻んだ。

原口の声がグラウンドに響いた。試合前のシートノックで捕手として送球を受けた。原口らしい張りのある「オッケー」のかけ声が戻ってきた。3月7日の2軍合流からちょうど2カ月。鳴尾浜のスタンドには多くの虎党が見守っていた。

背番号94が虎戦士とともに躍動する。軽快なフットワークも変わらない。一塁、三塁、二塁の順で送球。矢のような二塁送球を見せると野手陣からは「ナイス」と歓声が湧いた。待ちに待った2軍本隊合流に誰もが心を躍らせた。

打撃も以前と変わらないハツラツとしたものだった。フリー打撃では、マシンと打撃投手を相手に計54スイング。鋭い振りで安打性の当たりを19本、柵越えを4本放った。平田勝男2軍監督(59)も「バッティングもさすがだなという姿を見せてくれた」と安堵(あんど)の表情だ。

首脳陣もうなずく。「キャッチャーとしての動きは問題ない」と山田勝彦コーチ(49)。平田2軍監督は「シートの時も動きが良かった」と話した。動きに問題ないことが確認され、近日中の実戦復帰の可能性も出てきた。

譲れない目標がある。1月末に手術を終えてから、地道にリハビリを積み重ねてきた。2軍に合流した初日には「必ず今シーズン中に1軍の舞台、甲子園に戻って活躍したい。たくさんの人に夢や希望を与えられるように頑張っていこうと思います」と固い決意を明かした。練習後、以前と変わらない爽やかな笑顔で鳴尾浜を去った原口。この日、力強く節目の1歩を踏んだように、しっかりとした足取りで甲子園につながる道を歩んでいく。【望月千草】