頼れるエースだ。ソフトバンク千賀滉大投手(26)が自己ワーストの7四球を出しながらも6回を2点に抑え、自身4連勝でチームの連敗を3で止めた。この日はタカ・ガールデーで、4万178人のうち3万950人の女性ファンがヤフオクドームに詰めかけた。ピンクのユニホームを着た女性たちに、ナインは白星をプレゼント。チームは貯金を7にした。

初回から大ピンチだった。連打と四球で無死満塁。4番井上をカットボールで三塁ゴロ併殺に仕留め、続くレアードは空振り三振。ロッテに先制は許したが、最少失点で切り抜けた。「(調子が)なかなかよくなかった。今日はずっと迷子ちゃん。試合を壊さないことだけ。紙一重だった」と千賀は振り返った。

思うように制球できず、修正もできない。7四球はプロ9年で自己ワースト。6回まで毎回、得点圏に走者を背負った。「今日は無理。四球何個出そうが0点で抑える気持ちで」と踏ん張った。1点差に迫られた6回2死満塁では、井上に追い込んでから直球を2球ファウルにされたが、最後は高めのカットボールで右飛に打ち取った。

6回、130球。6安打、7四球、2暴投と荒れながらも2失点に食い止めた。倉野投手コーチは「今年の中では一番悪かった。昨年までなら間違いなく、大量失点していた。改めてメンタルの成長を感じた」とエースをほめ、工藤監督も「集中力を切らさず、投げきった」と評価した。

8、9日の仙台での楽天2連戦はチームに同行せず、福岡・筑後市のファーム施設で調整した。2試合連続サヨナラ負けは映像で見ていた。10日はロッテに完敗し、3連敗。「連敗を止める気持ちしかなかった」と、強い気持ちでマウンドへ上がった。

筑後では交流戦に向け、打撃練習を行った。室内練習場にある打撃マシンで、160キロも体感した。「プロの打者って本当にすごい。あれで動いたりする球を打てるんだから」。自分が投げるスピードを感じることで、ツーシームやフォークにも食らいついてくる強打者たちの技術の高さ、投手を倒そうとする思いを感じた。相手が強ければ強いほど、千賀もさらに上を目指す。チームの連敗を止め自身4連勝と結果も残した。崩れないエースが、チームを救った。【石橋隆雄】