ソフトバンクで球団編成業務を行う三笠杉彦球団統括本部長(45)が13日、都内で「プロ野球チームのフロントの仕事と求める人材像」について講演を行った。プロ野球のデータを収集、分析する株式会社DELTA(デルタ)が主催するセミナー「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ」の本年度第1回に登壇。質疑応答などを含めると2時間以上にわたり、データ分析を行う「チーム戦略室」などフロントの業務内容、一緒に働きたい人材などについて語った。

東大卒の三笠氏は英国大学院でMBA取得、元東大ラグビー部監督という異色の経歴を持つ。野球以外にもビジネス、ラグビーなどに精通するだけに、野球と「サイエンス・テクノロジー」「他のスポーツ」「エンターテインメント」「ビジネス・ファイナンス」を絡められる人材を求めていると明かした。

データ分析については、トラックマンで把握したボールの動きなどを「結果指標」として捉える。今後は、結果を出すための取り組みとして「バイオメカニクス」(身体力学、生体力学)に注目しているという。

既に米国ではシアトルにある「ドライブライン」というトレーニング施設を中心に、効果的な変化球を研究している。バウアー(インディアンス)は、サイ・ヤング賞2度の同僚クルバーが投げるスライダーの回転数、回転軸などをまね。自らの身体的特徴と投げ方を、クルバーのような曲がり方をするスライダーと適合させている。また、ゴルフのタイガー・ウッズは、バイオメカニクスの専門家をコーチとして雇用し、復活につなげている。

昨年はセミナー受講者3人が、プロ野球の球団に就職した。今季もまた、新たな野球人が生まれる契機になるかもしれない。【斎藤直樹】