気持ちもバットもコントロール! 西武秋山翔吾外野手(31)が、本拠地での日本ハム戦に7試合連続の「1番中堅」で先発。先頭打者弾からの2打席連続本塁打を含む4安打の固め打ちで、チームを今季初の5連勝に導いた。1番に固定された17日以降、7試合で打率5割6分3厘、3本塁打。好調の裏には、一流打者らしい独特の感覚があった。

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「ホームランの感触を消すこと」。意外にも思える思考が秋山の根底にある。

秋山 逆方向の大きいのはいいんですよ。引っ張ったホームランは、力を入れれば入るという錯覚に陥る。ライトに出たホームランは気をつけないと。

言葉どおり、24日の最終打席で左中間に放った1発の感触は忘れていなかった。初回。日本ハム・バーベイトの外角直球を流し打ち、左翼へ通算17本目の先頭打者本塁打を放つと、2回無死の第2打席では、同投手の内角カットボールを振り抜き、右翼に9号アーチ。本人も気になる「ライト」への1発だった。

秋山 2本目は、1本目より詰まって上がったけど、詰まった分だけ切れなかった。いい打ち方ができたと思う。

「狙って打つ人間じゃないから」と誘惑にかられず、4回に左翼へ単打。8回には右翼線に低く鋭い打球の二塁打を放ってみせた。本塁打連発は「強く打てているからか」と問うと“らしい”答えが返ってきた。

秋山 「強く打つ」よりしっかり「ボールをつかまえる」こと。ちゃんとボールに力が伝わっているか、ボールのいいところに、バットの芯を当てる意識。強く打とうとすると、どうしても当てる前に出力が終わってしまう感じになる。

本塁打が増えても決して大振りにならず、安打を積み重ねる。開幕時の「3番」は不調で「1番」に起用されてから絶好調。少し複雑な思いも抱える。

秋山 そう言われると悔しさもあります。でも、しょうがないのかな。任されているところで結果が出るのはいいこと。

リードオフ・山賊。感覚の出し入れという超一流の技術でバットを操り、西武を上げ潮に乗せる。【鈴木正章】