阪神オネルキ・ガルシア投手(29)が、虎のユニホームで初めてのウイニングボールを手にした。4月16日以来の登板で4安打完封勝利。「しんどかったけど、今日勝てたので、今日から新しい気持ちで行ける。今後の自分に期待したいなと思う」。

9回2死、ロペスに投げ込んだ5球目は今季最速151キロを計測。「(これまでと)全然違うと思う。やっと結果が出てきてうれしい」。直球の威力は最後まで衰えず、13個のゴロを打たせた。味方のファインプレーにも助けられ、両手を上げて全身で喜んだ。

昨季中日で13勝を挙げた左腕は、ローテの柱と期待されて入団。「去年より良い結果を残したいと思っているし、その自信がある」。開幕前は胸を張った。しかし、初登板した4月2日の巨人戦で打ち込まれると、そこから3戦連続7失点。「自分のキャリアでこんな結果になったことはない。実際、想像していなかった」。2軍降格直後は珍しく弱音ももらした。積み上げた自信は崩れそうになっていた。

本来の自分を取り戻すため、貪欲にアドバイスを吸収した。香田2軍投手コーチとともに、前に突っ込んだり体重が後ろに残ったりとバラバラだったフォームを見直した。4月下旬の名古屋遠征の際には、かつてのチームメートである中日松坂が金言をくれた。「結果は出ていないけど、自分の投球をすれば大丈夫」。試合前の練習で「去年は結果を出した。見下ろして投げていた、あんな感じで投げればいいんじゃない?」と会話を重ね、マウンドではその言葉を思い返した。

助っ人の完全復活に矢野監督も一安心。「またチームにとって明るい材料が増えた。球の走りも戻ってきた。しっかりゴロを打たせる、ガルシアらしい本来の投球ができていた」。この日はうれしい「7点」をもらって初白星。かつての金髪とは2軍調整中におさらば。真っ赤な髪が映える、強くて明るい「77」として帰ってきた。【磯綾乃】