楽天が難攻不落の相手に2日連続で今季初黒星をつけて単独首位に浮上した。

1回にブラッシュの特大16号2ランなどで4点を先制すると、1点差に迫られた7回には島内宏明外野手(29)の右前適時打で貴重な2点を追加。高橋礼をマウンドから引きずり降ろし、大黒柱岸の今季初勝利をアシストした。

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7回2死一、二塁でネクストバッターズサークルの島内は悔しさをのみ込み、集中力を研ぎ澄ませた。「(前を打つ)茂木が当たっているから、(歩かせて)僕に回ってくると思っていた」。前日決勝打でこの日も2安打していた茂木がストレートの四球で満塁となり、追い込まれてから変化球に食らいついた。「最近ずっと打てていなかったから、何とかバットに当てようという気持ちだった」。執念で右前に転がした。

開幕から40試合以上「つなぎの4番」を務め、今季楽天が好位置で戦えている立役者の1人。5月下旬には25打席連続無安打という苦しみを味わった。「これだけヒットが出ないことも、今までなかった」。打順は4番から2番、5番、7番と移り、このカードから再び2番に入る。3回にも二塁内野安打を放っており、5月18日以来のマルチ安打となった。

無安打のトンネルを抜け出せずにいた時でも、その献身的な姿勢でルーキーを救っていた。5月28日の西武戦の7回。逆転に成功した後、2死満塁でフルカウントが続き、スタートを繰り返していた二塁走者の辰己はけん制球に反応できなかった。三塁走者の島内が投げた瞬間に本塁へ突入したことで追加点につながり、辰己は「島内さんには感謝しかありません」と最敬礼。当の島内は「打てないので、何かしら貢献しないと」と涼しい顔で言った。

千賀に続いて高橋礼にも今季初黒星を刻み、チームは単独首位に浮上した。9回の左翼守備ではファウルフライに滑り込んでフェンスで左膝を強打しても「大丈夫です」。心も体も強い。【亀山泰宏】