東北福祉大(仙台6大学)ドラフト候補エース右腕・津森宥紀(4年=和歌山東)の乱調で、連覇が消えた。

6回4安打無失点の左腕・山野太一(3年=高川学園)から、3-0の7回裏にマウンドを引き継いだが、8回までに3失点で同点。9回には自身がバント処理の失策などでピンチを招くと、最後はスクイズを決められて佛教大(京滋)に3-4とサヨナラ負けした。

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津森が三塁走者の生還を見つめながら、ホームベース付近で天を仰いだ。三塁側ベンチから飛び出してきた歓喜する相手ナインに取り込まれる中、目からは涙があふれた。「グラウンドでガッツリ泣いてしまったのは高校の時以来。3点差を逆転された経験も初めてですし、本当に申し訳ない気持ちです」。昨年は防御率0・00で最優秀投手賞を受賞した男が2回1/38安打4失点で、連覇を逃した。

研究され尽くした結果でもあった。クリーンヒット6本中、5本が左打者。「どこのチームも自分のまっすぐを工夫して狙ってきた。それを上回れなかった自分の力不足」。伸び上がるような直球を上からたたきつけられた。1-3で迎えた8回無死一、二塁でも左打者に左翼線2点適時三塁打。「まさか、あのコース(外角低め)を打たれるとは思わなかった。強気にいけない部分もあった」。失点以降、心の切り替えも出来なかった。

9回も無死から左打者に安打を許し、次打者の犠打を「指に引っかかってしまった」と悪送球。1死二、三塁からの相手スクイズにも「走者が走ったと分かって内角低めに投げたが、バントが絶妙でサードに任せるしかなかった」。報道陣の前でこぼれそうになった涙は必死にこらえた。

鉄壁だった守備も、8回に二塁手後方の飛球を安打にしたり、左翼手がクッションボールの処理にもたついたりと、記録に残らないミスも重なった。大塚光二監督(51)は「今までずっと助けてもらったので、津森で負けたらしょうがない」と言い切った。

津森にとっては日本一、大学日本代表選出と順調な歩みだったが、挫折をプロ入りへの励みとするしかない。「もう1枚も2枚も成長できるように、秋に向かいたい」。秋の明治神宮大会は東北3リーグで1枠だけ。チームを勝たせる絶対エースとして、帰ってくるつもりだ。【鎌田直秀】