ミラクル快進撃を続ける佛教大がついに決勝進出を決めた。京滋大学リーグ代表として初めて進んだ準決勝で、3点差を逆転して東海大を撃破した。0-3からの逆転勝ちは4勝中、実に3度目だ。

木下隆也(2年=奈良大付)が出てくれば佛教大のペースだ。3点先制された4回の途中から登板。9回まで1失点で投げ抜き、その間に打線が逆転した。初戦の八戸学院大戦は0-3の5回から5イニング無失点。準々決勝の東北福祉大戦も0-3の7回から3イニング無失点。そしてこの日も0-3から。「逆転を呼ぶ男」はチーム4勝中、救援だけで3勝を稼いだ。

「0-3でマウンドに上がりましたが、この大会はいつも3点までなら点を取ってくれていた。4点やるのとは違う。相手はいい打者、ポテンシャルが高い打者がいっぱいいる。ちぢこまっても一緒。チャンスと思って投げました。3点以上、点をやらないように抑えれば流れが来ると思っていました」

最速144キロ。ソフトバンク和田にあこがれる左腕は球の切れが自慢。独特の腕が遅れて出てくるフォームから、スライダー、チェンジアップをコースに投げ分ける。右打者の足元に鋭く落ちるスライダーが一番の武器で、打者の左右を苦にしないのもロングリリーフに生きている。

3登板はすべてエース中山怜央(4年=奈良大付)を救援した。高校の2年先輩。高校時は当然距離があったが、大学入学直後からかわいがられた。長い時間をともに過ごし、多くを吸収してきた。今合宿でも部屋で過ごしたり、2人でマッサージに行ったり。

「怜央さんはクールに見えるけど、寂しがり屋です(笑い)。でも野球になると人が変わる。スイッチが入ります」と木下。都内のホテル生活はこの夜が10泊目。ミーティングをのぞけば野球の話は少ないといい、互いにいいリラックスタイムに過ごしている。