大腸がんから再起した阪神原口文仁捕手(27)が日刊スポーツのインタビューに応じ、復活の道のりを激白した。

昨年末に衝撃の診断を受けたが、復帰戦となった4日のロッテ戦で感動の適時二塁打。9日の日本ハム戦ではサヨナラ打も放ち、矢野監督を男泣きさせた。大きな病気になって芽生えた思い、同じ病気で闘う人たちに届ける勇気、これからの目標…。背番号94が思いのたけを熱く語った。【取材・構成=磯綾乃】

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-大腸がんになって

まさか、自分がなるとは思ってないし。そこまで深く考えることって自分がなる以外は、近い身内がなる時ぐらいしかない。自分がなってみて、すごくいろいろ考えました。やっぱり生きてることのすごさだったり、ありがたさというのはものすごく感じましたね。

-「ゴールデンウイーク頃に復帰」を掲げていたが、決めたのはいつごろ

(1月末に)手術してすぐか、その前あたりには、勝手に自分の中でイメージしていました。傷がこれぐらいで治るから、そこから動きだして、ここぐらいかな、と。自分に思いこませて、やっていました。もう、勝手に(笑い)。先生には傷が治るまで1カ月半から2カ月ぐらいは絶対安静に、動いても散歩ぐらいと言われていました。そこはしっかりおとなしくしていないと治るのが遅くなってしまうので、治ってからどうやったら良くなるかを勝手にイメージしていました。

-入院直前も体は動かしていた

なるべく体力を落とさないで、と先生にも言われていた。プラス、復帰して体が治ったらすぐ野球をやりたかったので、技術の向上とできるところまでレベルアップという意味も込めて、前々日までやっていましたね。

-退院した後の筋力は

筋力はやっぱり落ちましたね。体重はそこまで変化なく、マイナス2キロくらいです。

-野球を再開してから実際の感覚は

イメージの中ではこうやって打ってとか、こうやって投げてというのができていた。でもいざ動いてみると、疲れ、体力がやっぱり落ちている。午前中の練習だけで疲れてしまったりとか、イメージとはちょっと違いましたね。トレーナーさんに見てもらいながら、体幹強化だったり下半身強化だったり。あとは技術練習を徐々に上げていく中で、量をこなして感覚を取り戻していきました。

-改めてここまでの道のりで感じたこと

楽しんでやっていこうと。もちろんその中には、しんどいことだったり、大変なことは絶対について来る。そういう時こそ、楽しい方向に物事をとらえて、プラスに考えて。僕よりもっと大変な思いで頑張っている方、闘病している方や家族もいるので、そういう人たちのために少しでも励みになれるように。結果を出して頑張っていきたいと思います。