野球好き歌手の河野万里奈がプロ野球交流戦(6月4日~25日)の10大ニュース+5をチョイスした。

【1位:中川圭太選手、キングになる】

「最後のPL戦士」は「最高の孝行息子」だ。交流戦打率.386で首位打者を獲得。ドラフト7位からの大躍進である。特に終盤は圧巻だった。タイトルが見えてくるとルーキーでなくとも力みそうなものだが、直近5戦連続マルチヒット、4戦連続タイムリー。相手からすると嫌な所で打ち抜いてくるしぶといバッティングで、チームの交流戦2位に大きく貢献した。毎日気になって検索しすぎたわたしのスマホは「なか」と打つだけで「中川圭太」と予測変換されるようにまでなった。

【2位:原口文仁「みんな!ただいまー!」】

大腸がん告白のニュースをみた4カ月前、命のご無事だけを祈っていたただのファンのわたしには、失礼ながらここまで素敵な景色を望むことなどできなかった。6月4日のロッテ戦で1軍復帰すると代打でいきなり適時打を放つ。そして9日の日本ハム戦。3-3で迎えた9回2死二、三塁の場面で代打出場し、センター前に落ちるサヨナラ打でヒーローとなった。お立ち台で涙も見せず明るく「ただいまー!」「僕の活躍が(同じように病と戦う人の)力になるとすれば、生きて野球をやれる意味がある」と語った勇敢な瞳。チームメイトの笑顔。矢野監督の涙。忘れられない1日となった。

【3位:和田毅で交流戦優勝を奪Sh】

2年ぶり8度目の交流戦優勝を決めたソフトバンク。離脱者の穴を感じさせない若手の躍進、福田選手の満塁弾、甲斐選手の2死満塁(三塁走者はデスパイネ選手)からのスクイズなど、ドラマは数えきれない。しかし「勝った方が優勝」の試合で先発マウンドを38歳ベテラン左腕・和田毅に託したこと。彼にとって651日ぶりの勝利で優勝を奪Shしたこと。約10年前(わたしがまだ福岡に住んでいた頃)のヒーローが泥にまみれながらも立ち上がり健在であることに最も強く心を強く揺さぶられた。球団公式Instagramにアップされていた和田投手と鳥谷様の早大先輩後輩ツーショットにも心を奪Shされた。

【4位:18’ドラフト主役たちの初舞台】

昨年甲子園・ドラフトで主役級の注目を集めた吉田輝星投手(日)がついに1軍デビュー。12日のカープ戦で5回4安打1失点の好投を見せ、プロ初登板初勝利を飾った。また、広島のドラ1ルーキー・小園海斗選手も20日に1番ショートでプロ初スタメン。初打席初ヒットを放った。しかし吉田輝投手は続く中日戦にて3回5失点KOで登録抹消。小園選手は22日まで3戦4失策で翌日スタメンを外れる。山あり谷ありである。しかしルーキー達がデビュー戦で魅せた輝きと実績は消えない。むしろ始まったばかりのプロでの戦い。期待と応援を胸に次のチャンスを待ちたい。

【5位:「ロッテの顔」コンビから安打のシャワー】

10年目33歳・荻野貴司。8年目29歳・鈴木大地。数多の苦難を乗り越えてきた「ロッテの顔」ともいえる2人から快音が止まらなかった。荻野選手は21日、先頭打者ホームランを含むサイクルヒット王手の大活躍。鈴木選手はなんと言っても16日、9回5点差をひっくり返して勝利した試合。鈴木選手の2打席連続アーチで幕を開けた9回、バットを折りながらのサヨナラ打で幕を下ろしたのも鈴木選手だった。一時2人が交流戦打率トップに仲良く名を連ねていて(最終順位は.3684で2位タイ)、何だかホッコリした。1番・荻野選手が出る→2番・鈴木選手が返す。これは素晴らしい世界線。

【6位:秋山翔吾パパ、打ちまくる】

2015年から西武ライオンズが実施している「ひとり親家庭」の招待試合。今季2度目の開催日は、父の日でもある6月16日だった。この日、秋山選手は3ランを含む3打数2安打3打点の大活躍。まただ!!…というのも、この企画の日はいつにも増して打ちまくる秋山選手。昨年は4回開催され、17打数7安打で打率.412。小学生の頃にお父様を亡くし母子家庭で育った秋山選手には特別な想いがあるのではないだろうか。ご自身も、現在は2児のパパ。その背中は、どんなに頼もしく映っただろう。

【7位:植田海選手キャリア初ホームラン】

中継を見ながら、飛び上がった。それほど衝撃的だったのだ。6月12日ソフトバンク戦、阪神植田海選手がキャリア初となるホームランを放った。代走や守備固めでの起用が多いこともあり、誰よりじっくり時間をかけてプロ入り3年目の去年、プロ初打点を記録した。しかしそれもゴロの間にランナーが還るというものでご本人に笑顔はなかった。だからこの2ランで鮮やかに打点2が記録されたことが、ファンとして感慨深かった。ベンチも、サイレントトリートメントするかと思いきや全員純粋に驚いて笑ってしまっていた点も良かった。普段職人走塁を魅せている植田選手があんなにゆっくりダイヤモンドを駆けるのは初めて見た。赤ちゃんのようにややヘニョリと脱力した走り方からは、喜びが溢れていた。以前より鋭く強くなったスイングで(河野調べ)、その後も代走だけでなく打席でも結果を残している。今年の植田選手は一味違うかもしれない。

【8位:なべりょ選手、聖地でグランドスラム】

つくづく思う。なんてパンチ力だ、と。6月8日阪神戦、7回2死満塁。なべりょ(日本ハム渡辺諒)選手の打球は、甲子園のバックスクリーンへ吸い込まれていった。見事な満塁ホームランだった。大好きな選手にもかかわらず、あまりにすごすぎてちょっと引く、という初めての感情を覚えた瞬間だった(最大級の賛辞です)。なべりょ選手は東海大甲府高時代にも甲子園に出場し、レフトへホームランを放っている。実に7年ぶりの聖地での一発。この日はどうにか不振を打破すべく、調子のいい大田泰示選手の靴下を借りて試合に臨んでいたという。なべりょ素敵だな、なべりょ。

【9位:大和選手、2度のサヨナラ】

DeNA大和選手が3日で2度のサヨナラ打。6月19日のお立ち台では田代コーチから「お腹がすいた」「この回でゲームを決めて」と言われたのでヒットを打てた、と語った大和選手。そのため、2日後にライトオーバーのサヨナラ二塁打を放ったときも田代コーチが腹ペコだったのかな?と思ったが違ったらしい。今後大和選手が勝負を決めるたびに田代コーチの空腹事情が気になる魔法にかかってしまった。大喜びで大和選手に駆け寄るソト神もかわいらしかった。サヨナラ勝利は「縁の下の力持ち」ともいえるリリーフ陣に勝ち星が光る点も好き。DeNA、チーム5年ぶりとなる交流戦勝ち越し!

【10位:高橋周平ポロリ危機の中ホームラン】

21日日本ハム戦、先制3ランを打った中日高橋周平選手。なんと、打席に入った時にベルトが壊れていたという。確かにベースを回る時もズボンを手で押さえていた…むしろホームランじゃなかったら(スライディングをしようものなら)脱げてしまっていたのでは…?なぜ安打のみならず、こんなにもおもしろエピソードを量産できるのか。5月の月間MVP授賞式の際には記者から「もっと笑顔で!」と言われるほど不器用なスマイルだったのに、ベルト弾のヒーローインタビューで「イケメン神7真打ち・高橋選手」といわれた時にはついこらえきれずニヤケてしまった点も愛すべき覚醒龍。

【+5】

11位:燕のひな鳥(中山選手・吉田選手・村上選手)メキメキ成長

12位:ソト神、まだ6月なのに22本塁打

13位:わたし、辰己選手(楽)が「ひとりで(ダイヤモンドを)2、3周したいと思っている」と知り爆笑と感心

14位:坂本選手(巨)、大田選手(日)のファインプレーに脱帽

15位:日本ハム清水選手・横尾選手、清宮選手の登場曲を勝手に変えて怒られる「まさかあそこまで怒るとは…」

【河野万里奈(かわの・まりな)】

5月21日生まれ、福岡県出身の歌手。関西学院大出身。物心がついた頃から、夏休みは兵庫・尼崎市の祖母宅に行き、家族で甲子園球場に通っていた。選手にドはまりした最も古い記憶は、04年の佐野恵太選手(東海大甲府高)。中学時代、多感な時期の女子たちとのコミュニケーションに苦しんでいた時に、鳥谷敬(阪神)の存在を知る。言葉でなく背中で語る姿に救われて以来、「鳥谷様」と呼ぶほどに崇拝。自称「鳥谷チルドレン」。甲子園から応援していた選手が各球団に散っていくため、特定の球団を応援することができない。「NPB箱推し(全体を応援している、の意)」で、現在は週1のペースで各地の球場に足を運んでいる。

2010年、「第4回アニソングランプリ」で応募者総数1万189組の中からグランプリを獲得し、翌年アニメ『Aチャンネル』のOP曲「Morning Arch」でデビュー。作詞作曲、ライブパフォーマンスのインスピレーションは9割野球選手から受けている。SNSの投稿内容の割合は、歌:野球=2:8。とにかく脳内が野球に支配されている。ライブ中のMCでも野球トークを繰り広げるため、共演者や音楽ファンをしばしば困惑させるほど。選手への愛しさ余って勝手に応援歌を作りSNSに投稿しており、昨年は西武ライオンズの山賊打線をテーマにした曲「ライオンズアラート」がややバズって喜んだ。選手の登場曲を担当することが夢の一つ。いつか鳥谷様に、ここまで育ててくださったことのお礼を言うことも夢の一つ。148センチ、右投げ右打ち。

2019年5月15日、テイチクインペリアルレコードよりニューシングル『真人間入門』再メジャーデビュー。同19日にワンマンライブ開催。