ソフトバンクは敗れたが前半戦を首位で折り返した。柳田ら主力に多くの故障者が出たが、育成出身の周東ら若手が台頭。今季スローガンに掲げた「奪Sh!」のもと、目指した走塁改革も順調に進んだ。

2位以下を大きく引き離す戦いぶりで、後藤芳光球団社長(56)は、契約最終年の工藤公康監督(56)の続投に前向きな考えを示した。

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白星では締めくくれなかったが、堂々の首位ターンだ。この日の戦いでも、主力に故障者が続出した中で躍進の原動力になった「走塁改革」の一端を見せた。

3回の攻撃。先頭打者の9番牧原が内野安打で出塁。続く周東はエンドランで、二塁カバーに動いた遊撃源田の逆を突く左前打だ。一、三塁から周東が盗塁でチャンスを広げ、福田の犠飛で先制点を取った。グラシアル、松田宣も盗塁を決め、84試合終了時点でリーグ3位の76盗塁。昨季143試合でリーグ5位だった80盗塁に迫る。スローガン「奪Sh!」のもと走るチームに生まれ変わった。

就任5年目の工藤監督にとって、苦悩の前半戦だった。「全然、あっという間じゃないです。今年が一番長いですかね」と苦笑いで振り返る。開幕直後から柳田ら主力にけが人が続いた。戦力のやりくりに頭を悩ませたが、例年以上に若手が躍動した。この日1番で2安打した周東は、開幕前に育成から支配下に上がったばかり。ブルペンもルーキー甲斐野をはじめ、椎野や高橋純らが入り若返った。この日も高卒2年目の田浦がプロ初登板で好投。故障者が戻る後半戦へ向けて、戦力に厚みが増した。

「勝負」とにらんだ交流戦以降の12試合、ここを10勝2敗で大きく勝ち越すことができた。指揮官は「選手たちがしっかり集中力を持って戦ってくれた。本当に良くやってくれた」とたたえた。苦しんだことが、実りの秋につながると信じている。【山本大地】