15年センバツの優勝投手、日本ハム平沼翔太内野手(21)がプロ初アーチを放った。西武16回戦(メットライフドーム)の2回、十亀から右中間席へ運んだ。プロ4年目、出場50試合103打席目で待望の1発。25日には母校・敦賀気比が甲子園出場を決めたばかり。“祝福弾”で激励した。チームは3連勝で、今季最多の貯金「9」。首位ソフトバンクに1・5ゲーム差まで迫った。

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待望の瞬間が、きた。1点リードの2回。平沼が待ちに待った1発を放った。西武十亀の2球目、直球140キロをすくい上げ、右中間席へ。淡々とダイヤモンドをまわったが、チームメートに迎えられると笑みをこぼした。「狙い球がきたら、思い切りいこうと考えていました」。プロ4年目。出場50試合103打席目でのプロ1号は、夢中で振り抜き、鮮やかに決めた。

アクシデントを乗り越え、帰ってきた。6月15日巨人戦で左ふくらはぎに死球を受け、打撲で離脱。内野のレギュラー争いへ猛アピールしている最中での、手痛い故障だった。約1カ月半ぶりに再昇格したこの日、即スタメンに抜てきされた。「1カ月以上、1軍ではブランクがあったので不安もありました」。内心ヒヤヒヤしていたが、最初の打席で万全を示した。

母校にささげる“祝福アーチ”だ。25日に母校・敦賀気比が甲子園出場を決めた。自身のツイッターを通して祝福コメントを送った。「後輩の活躍に負けないように、自分たちも日本一目指して頑張りたい」。刺激を、すぐに力に変えた。

15年センバツ優勝投手は、大谷に次ぐ「第2の二刀流」の可能性を秘めロマンたっぷりに入団した。プロでは野手専念も、非凡さは信念に表れた。「2軍にいたらプロとは言えない」。先輩の練習態度などに疑問を持てば、反面教師にした。敦賀気比の先輩で侍ジャパンの中軸を担う、オリックス吉田正の活躍にも「僕の方が打ちますよ」と言ってのける。周囲から「ビッグマウス」と冷やかされることもあったが、意識の高さを貫いてきた。

チームは3連勝で、首位ソフトバンクに1・5ゲーム差。前半戦終了時点で7ゲーム差あったが、背中はすぐそこ。「いい流れの時に呼んでもらった。少しでも貢献出来れば」。未完の大器が、首位浮上へ火を付けた。【田中彩友美】

▽日本ハム栗山監督(プロ初本塁打の平沼に)「久々に戻ってきて、今まで以上に必死に野球をやるべき、高校球児みたいに必死にやるべきと話した。本塁打が出て、自分でも落ち着くと思う」

◆平沼翔太(ひらぬま・しょうた)1997年(平9)8月16日生まれ。福井市出身。敦賀気比では春夏3度の甲子園に出場。3年春にはエースとしてチームを北陸勢初の優勝に導いた。15年ドラフト4位で日本ハムに入団。17年4月20日オリックス戦で初出場。18年6月17日ヤクルト戦で初安打。今季推定年俸570万円。179センチ、78キロ。右投げ左打ち。