母校の夏は終わっても、俺たちの夏は始まったばかりだ。DeNA「横浜高校打線」が、同校の大先輩・中日松坂から初勝利した。スタメンに1番乙坂、2番筒香、9番に石川と同校出身者を起用。1回に3人それぞれが、適時打を放つハマリっぷりで、過去2戦ともに敗北を喫していたレジェンドをあっという間にKOした。チームは7連勝。貯金も今季最多の5。首位巨人が敗れ、いよいよ3・5ゲーム差にまで迫った。「DeNA横浜高校打線」がセ界の夏を熱くする。

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かつては「ヨココー生」だった。横浜高の伝統を紡いだ男たちが、ナゴヤドームに集結した。DeNAの先頭打者に成長した12年卒の乙坂は「小さいころから見てきた投手」と母校のレジェンド松坂を見つめた。1回先頭。大きな存在と尊敬する大先輩に気後れすることなく、初球を中前にはじき返した。次打者は今や球界を背負って立つ主砲・筒香だ。前日26日に「みんなが憧れる横浜高校の大先輩。ファンの人が、見ていてワクワクするようなプレーを見せられるように頑張りたい」と話していた10年卒の後輩も、左中間への適時二塁打で続いた。

1、2番の「ヨココー」2人で1点をもぎ取れば、05年卒の石川も黙っていない。リードを4点にまで広げた1死満塁。「高校に入った時(松坂)世代はめちゃくちゃすごくて、憧れていた。対戦できることはめったにない。何とか打ちたかった」。2ストライクと追い込まれながら、右前へ適時打を放った。レジェンドから打者一巡。この回2打席目の乙坂にも適時打が生まれ、3人で4安打3打点と「横浜高校打線」が松坂をKOした。

ラミレス監督の仕掛けだった。「前回は(横浜高校)ラインアップでうまくいかなかったけど、リベンジしたい。左打者の方が松坂を打っているのはあるが、これはフィーリング。センパイを打ってくれれば」と期待を持って送り出した。松坂には過去2戦2敗。18年8月16日の対戦ではスタメンに筒香、倉本、石川、荒波と同校出身の4選手を並べながらも白星を献上していただけに、同監督は「並べた意味があった。ミッションコンプリート」と大きくうなずいた。

惜しくも母校の後輩たちは25日、神奈川県大会の準々決勝で敗れた。DeNAは7連勝で貯金も今季最多の5だ。首位巨人に3・5ゲーム差と肉薄。神奈川、いや“セ界”の頂上も見えてきた。後輩たちの悔しさを胸に? 先輩たちが熱い夏を終わらせない。【栗田尚樹】