来た、来た! 阪神が今季初の5連勝でクライマックスシリーズ(CS)進出圏まで2・5ゲーム差に接近した。試合を締めたのは抑えの藤川球児投手(39)だ。3点リードの9回を打者3人で片付けて今季9セーブ目、現役最多タイの通算234セーブ目を挙げた。2夜連続で3位とのゲーム差を0・5ずつ詰め、残りは25試合。頼もしい守護神とともにラストスパートをかける。これで7年連続の長期ロード勝率5割以上が決まった。

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ねじ伏せた。新守護神の藤川が試合を締めた。3点リードの9回に登板。代打荒木、奥村から三振を奪うと、最後は代打西田をカウント2-2から、渾身(こんしん)の高め直球で中飛に斬った。「無事に終わって良かったです」。東都の虎党がドッと沸く今季チーム初の5連勝。浮かれても良さそうなシーンだが、27個目のアウトを奪った右腕が表情を変えることはなかった。

今季9セーブで、通算セーブ数は234になった。歴代4位で現役最多を誇るソフトバンク・サファテに並んだ。現役最強のストッパーとなったが「年を取ってるだけです。前のことはあまり考えない。過去にすがるつもりはない。前向きにみんなやってるんで」とサラリ。積み上げた個人記録を振り返ることはまったくない。

最強ブルペンの支柱だ。不調で2軍落ちした守護神ドリスが1軍復帰した今月20日以降もストッパーのポジションを守り続ける。この日は6回能見、7回岩崎、8回ジョンソンがゼロのバトンをつなぎ最後は藤川が締めた。先行逃げ切りの形を作ることで、チームも白星を重ねている。その原動力になっているのが、防御率1・60と抜群の安定感を誇る39歳の存在だ。

現役時代に藤川と最優秀バッテリー賞に輝いた矢野監督も絶賛する。「素晴らしいよね。一緒に組んでいたし、球児のストレートは魔球やって、その時言っていた。そんな球種があるわけでもないのに、今も中心になっているのはストレート。この年でその球で勝負出来ている」。たゆまぬ努力で進化を続ける右腕に指揮官も全幅の信頼だ。

大リーグ時代の2セーブも加えると、名球会入り条件の250セーブにあと14となった。達成すれば阪神の救援投手では初の偉業だ。残り25試合で今季中の達成もゼロではない。チームはCS圏内の3位DeNAに2・5ゲーム差と猛追する。「言ったでしょ。こういう勝ち方をしないと流れは来ない」。藤川の言うように虎が得意とする接戦をものにすれば、逆転CSへの道が開ける。【桝井聡】

▼阪神がヤクルト戦12勝5敗2分けとし、6試合を残して2年ぶりに勝ち越しを決めた。阪神の今季カード勝ち越しは、DeNA戦に続き2球団目。