苦しい状況でも最後まであきらめずに挑む。帯広市出身の日本ハム杉浦稔大投手(27)が、北海道胆振東部地震発生から丸1年となる6日のオリックス戦(札幌ドーム)に先発する。

5日、チームとともに関東遠征から札幌に戻った。チームは現在8連敗中で最下位に沈むが、道産子右腕の全力投球で被災地に勇気、そして低迷するチームに活力を与える。

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大地震発生から丸1年。本拠地での先発マウンドに立つ杉浦がその思いを口にした。「最後まで諦めずに、全力で戦うというのがファイターズのチームの方針。そういう姿を見て応援してくれている人たちもいると思いますし、それを見て日々の活力になっている人たちもいると思う。僕たちはそういう姿勢を最後までやり切るというのを忘れないように」と、被災地へ勇気を届けるべく決意を示した。

道内全域で震災の影響を受けた昨年9月6日、日本ハムの選手らも被災した。札幌市内の合宿所でも停電や断水が発生。食事はインスタントラーメンとなり、暗闇の中、ローソクであかりをつけてしのぐなど不自由な生活を強いられた。杉浦の実家は大きな被害はなかったが、生まれ故郷での震災に胸を痛めた。だからこそ、自身にとって特別な1戦と位置づける。

今季は11試合に先発し2勝止まりだが、帯広で先発した前回の8月29日西武戦では、ヤクルトから移籍後最長となる6回を投げるなど調子は上向きだ。故障歴のある右肩に不安はなく「体自体に異常がないので、特に気にするところがなく調整できている」と話す。

チームは同一シーズン2度の8連敗以上を記録し、27年ぶりの屈辱を味わうなど苦しい状況にある。「しっかり試合を作って最少失点で打者1人1人と勝負していきたいと思う」。道産子右腕がチームを鼓舞し、被災地に元気を届ける。【山崎純一】