エースの気迫に引っ張られ、大一番を勝ちきった。楽天がロッテとの今季最終戦に2-0で勝利し、3連勝。3位に浮上した。

初回に銀次内野手(31)が中前に先制打を放ち、先発則本昂大投手(28)を援護。9回には則本昂からマウンドを引き継いだ松井裕樹投手(23)が2奪三振、無失点の力投で36セーブ目を挙げた。敗れればCS進出が遠のく一戦を、総力戦でものにした。

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勝敗を分けたのは、勝利への渇望だった。初回2死一、二塁。銀次はじっとボールを見極めた。初球、ロッテ小島のスライダーは外角低めに外れた。2球目、同じ球種が続けざまに来た。1球目よりも甘く、高い。迷わずに振り抜いた。打球はお手本のようなセンター返しで二遊間を破った。これが自己最多タイのシーズン155安打目。試合を動かす先制適時打に「ボールが高かったんで。あれが低かったら凡打になっていた。ああいうところでヒットが出るのは、しっかり打ちに行けたから」とうなずいた。

マウンドから感じる気迫に、応えないわけにはいかなかった。勝てば3位浮上、敗れれば1・5試合差で自力CSが消滅する一戦。銀次の目には背番号「14」がいつも以上に大きく映った。「一番気合が入っていたのはノリ。相当集中していた。ファーストを守ってても感じました」。エースが力いっぱい腕を振り、チームを鼓舞する。引っ張られるように主将として、バットで結果を示した。

最終回を任された左腕も同じだった。松井はマウンドに上がる前に、バトンを渡された。「則本さんがこれぞエースというピッチングをしていたし、降板した後にベンチで平石監督と握手をしているのを見て気合が入りました。(9回の)島内さんのタイムリーも勇気をくれました」。投打で作り上げてきた緊迫した試合展開。エンディングをぶちこわすわけにはいかなかった。

だからこそ、力強かった。先頭の岡をオール直球で3球三振。2死からマーティンを外角低め147キロ直球で見逃し三振に斬った。自己最多を更新する36セーブ目。「あと6試合、全部投げるつもりでスタンバイしている。CSを勝ち取れるように」と残り試合全登板も覚悟する。

エースの力投でさらに一丸となったチーム。誰もが勝利しか見ていない。悲願のCS進出へ、止まらない。【島根純】