楽天由規投手(29)が481日ぶり、移籍後初めて1軍マウンドに上がった。

仙台が、東北が、待っていた。6点差の9回、悲鳴に近い歓声が球場を包んだ。マウンドに上がったのは背番号63、楽天のユニホームに身を包んだ由規。育成契約から支配下契約を勝ち取り、ようやくたどり着いたことをファンは知っていた。ヤクルト時代の昨年6月2日に楽天生命パークで投げて以来の復活登板。試合前、平石洋介監督は「生きざまを見せてほしい」と送り出した。

初球から全開だった。代打愛斗に外角低め148キロ直球。判定はボールだったが続けた。147キロ直球でファウル、146キロ直球でファウルを奪い、追い込んだ。1球、149キロ直球は外れたが、5球目、135キロ高めのスライダーで空振り三振を奪った。

「1球投げたらイメージと違った球がいった。でも技術的にどうこうはできないので、気持ちでいくしかないと。ファウル、空振りをしてくれて、良い方向に進んだと思う。ホッとしてます。原点に返って、気持ちで抑えるというのを久々に体で感じた。野球選手として忘れちゃいけないことだなと思いました」。生まれ育った故郷で、野球選手としての闘争心に火が付いた。

だからこそ、押し込んだ。続く木村はカウント2-2から150キロ直球で一ゴロ。最後の熊代は2球で追い込み、147キロ外角高めの直球で空振り三振に仕留めた。全13球中、直球が10球。最速は150キロを計測した。1回無安打無失点2奪三振。試合を締めると、球場中から大きな拍手が起こった。「地元のパワーというか、大きな声援をいただいた。浸りたかったですね」とファンの声が力になった。

仙台生まれの右腕が最終戦で見せた力投。「CSに向けて、チームに好影響を与えられたら。こういうところで投げさせてもらった。今後に生かしていきたい」。復活の足跡を堂々と記した。