主砲のお目覚めだ。ソフトバンク柳田悠岐外野手が本塁打を含む3安打2打点の活躍で、逆転勝利を呼んだ。

久々の弾道だった。1点を先制された直後の初回2死、楽天美馬の変化球を右翼テラス席に運んだ。9月1日西武戦以来、1カ月ぶりのアーチに「あんまりスッキリはしないけど、チームには貢献できたので良かった」。納得のいく打球ではなかったが、同点弾で崖っぷちの打線に火を付けた。

再び1点リードされた3回にも同点の適時二塁打。5回には内野安打で出塁し、デスパイネの適時打で生還した。「大した当たりじゃない。たまたま。ラッキーじゃないですか」と謙遜したが、今季2度しかなかった3安打の固め打ちだ。優勝を逃したシーズン終盤は、高い周囲の期待には応えきれなかった。「負ければぼくの責任。チームに迷惑をかけているとは思うけど、自分自身のもどかしさはない。申し訳ないという気持ちだけ」。自己満足よりもチームの勝利を願う気持ちがバットに乗り移った。

この日の試合前には、観戦に訪れていたボートレーサーの三井所尊春から激励を受けた。外のコースから相手を一気に抜きさる「まくり」を得意とするトップレーサーからパワーをもらった。まだ負けられない戦いは続く。復活した柳田がバットで導き、第1戦を先勝された楽天に、ここから一気の「まくり」を決めるつもりだ。【山本大地】