広島が明大・森下暢仁(まさと)投手(4年=大分商)の一本釣りに成功した。17日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で公表通り1位で入札し、他球団が他候補に流れ単独指名となった。

抽選を覚悟していた佐々岡真司監督(52)にとっては、うれしい肩すかし。会議の途中で会場を抜け出し、都内の明大で指名あいさつを行った。自らも背負った背番号18を継がせたい考えも示し、来季の先発ローテーション入りを期待した。

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佐々岡監督は森下の単独指名に成功した後、ドラフト1位指名の取材対応を終えるとすぐに都内の明大に向かった。交渉権を獲得した恋人の元に駆けつけ、電光石火の指名あいさつ。2ショットで記念写真に納まった。「しっかりとものを言うし、好印象です。いい男だなと。イケメンですね。来年のキャンプ、シーズンで投げている姿を描いています」。表情は緩みっぱなしだった。

155キロ右腕の投げっぷりにほれ込んでいた。チームは大船渡・佐々木、星稜・奥川の高校生コンビも高く評価していたが、映像を見て「これだ」と即決した。スカウト会議で自らの思いを訴え、認められた。「体全体を使って投げるし、スピードも、コントロールも、バランスも、総合的にすべていい」。絶対に欲しい投手だった。

抽選を覚悟していた。即戦力NO・1投手を一本釣りできるとは思えなかった。15日、7年前に亡くなった母江美子さんの墓前で「武運」を祈った。それでも16日夜、白紙のはずれくじを引く夢を見た。必勝を期し、紫紺の明治カラーに色が近い紺の「勝負パンツ」にはきかえて会場入り。「思った以上の緊張よ」と硬い表情で話した。うれしい肩すかしに「ホッとしています」とほおを緩めた。

背番号18を継がせる希望も明かした。現役時代に背負い、現在は欠番。前田健太(ドジャース)もつけていたエースナンバーだ。「僕だけでは決められないですが、僕はそういう気持ちでいます。オーナーと話をしていかないといけないですが」。森下と対面した際は、直接その意思を伝えた。それほど期待している。

2位以下の指名も想定通りに進んだが、新監督にとって何よりうれしいのが森下の単独指名。「まずは先発として投げてほしい」。新監督が来季のチームを形づくる大きなパーツを手にした。【村野森】