プレミア12の開幕投手候補、侍ジャパン山口俊投手(32)が不安な内容で最終調整登板を終えた。

強化試合カナダ戦(沖縄セルラースタジアム那覇)で先発。初回は3者凡退で切り出したが、決め球フォークの制球に苦しみ、2回に4四球4安打を許し、大量6失点を喫した。11月5日のオープニングラウンド初戦、ベネズエラ戦(台湾・桃園)の先発が有力だが、課題を残した。

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不安を残し、マウンドを去った。山口が、自慢のフォークに苦戦した。2回無死。フルカウントから繰り出したフォークは、捕手のミットから大きく外れた。この四球を皮切りに、リズムを崩し始めた。無死一、三塁のピンチを招くと、連打で先制点を献上。決め球であるフォークの制球が定まらず、打者一巡の一挙6失点。4四球、1暴投と苦しんだ。

フォークの操縦が、明暗を分けた。球数59球のうち、フォークは13球。12球がボールとなった。NPB公式球よりも小さめで、変化球の曲がりが大きいとされている大会公式球。フォークの使い手も、順応に時間を要することになった。2イニング目の最後の打者をフォークで空振り三振を奪ったが、ベンチへと戻る表情は悔しさに満ちていた。「もう少し、フォークの精度を上げないといけない」と課題を受け止めた。

予兆は前夜にあった。登板前日の10月30日、沖縄合宿で初めてブルペン入り。大会公式球を使い、キャッチボールでも試投していなかったフォークを投げた1球目。ホームベースの前で大きくバウンドし、隣で投球していた山岡のブルペンまで跳ねていった。その後も感触を確かめたが「(試合だと)力感が上がってくるので、そこで確かめられたら」とテーマの1つに挙げていた。

大舞台へと仕切り直す。初陣となる「プレミア12」のオープニングラウンド、ベネズエラ戦での先発最有力候補。故障離脱した千賀、発熱により登板機会が不透明な岸と相次ぐ先発陣のピンチで、山口に懸かる期待は大きい。「低めのボール球を見極められてしまったので、ブルペンで修正していきたい」。ほろ苦い最終調整を糧に、本戦での挽回を見据えた。【田中彩友美】