阪神矢野燿大監督(50)が高知・安芸での秋季キャンプ第1クール最終日の3日、ハイレベルな投手競争に手応えをつかんだ。

臨時コーチを務める山本昌氏(54)が再合流し、2度目の指導を終えて「期待はどんどん膨らむ。昌さんに来てもらってすごく良かったな、と。効果はすごく大きい」と振り返った。

象徴の1人が岩貞だ。今季はコンディション作りで苦労して8試合、2勝4敗に終わった。この日のブルペンでは山本氏からチェンジアップを教わった。元々の持ち球だが、実態は「新球」とも言えるもので、矢野監督は「サダ(岩貞)のチェンジアップは2ケタ勝ったとき、もっと抜けていたが、抜けにくくなったり、少し腕が緩んだりするところで、その間というか…」と説明。現在より球速が速く、直球と「旧チェンジアップ」の間に「新チェンジアップ」として位置付けられるものだ。

直球の速度に近い「新球」をマスターすれば、カウントを稼ぎやすくなり、打者有利のカウントでもストライクを取ることに使える。わずかにタイミングを外せることで、ゴロに打ち取りやすくなる効果も期待できる。「(腕が)緩むと打者が見逃しやすい。真っすぐに見えるかどうかが一番変化球に大事なところ。ゴロは(基本的に)ランニングホームラン以外、長打はない」と矢野監督。16年に10勝を挙げた左腕の復活となれば何より心強い。

収穫は岩貞だけでない。指揮官は「昌スクリュー」に最も近いチェンジアップの習得をみせているのが飯田だと明かす。さらに望月は、投球の軌跡を精密に測れる「トラックマン」によってリリースポイントが打者寄りに変化したことが裏付けられ、直球の質が上がっている。通算219勝を数える山本氏の指導成果は目に見えてきている。

今季チーム防御率3・46は12球団トップ。より強固になれば15年ぶりの来季Vに近づいていく。【松井周治】