大阪ガスが初優勝を飾った。過去に準優勝が3度。18年に初制覇した都市対抗に続いて全国タイトルを手にした。

先発の阪本大樹投手(24)はコーナーに投げ分ける投球で1失点完投。大会の最優秀選手に輝いた。

就任2シーズン目の橋口博一監督(52)が掲げる「走る野球」が存分に威力を発揮した。2回の先制シーン。四球で出た4番の土井翔平外野手(28)が二盗に成功。先制のホームインを果たした。

監督就任してから、足が遅い選手でも盗塁を指令した。全てノーサイン。チームの決めごとだ。打者は打ちたい球だけ打つ。相手は警戒を強め。配球も直球が多くなる。結果としてヒットエンドランの形でチャンス拡大することも多い。主砲ながら50メートル走6秒前半と俊足の土井は「監督はいけいけドンドンですから。前に行く意識が強くなった。足が遅くても(投球モーションを)盗めば成功できる」と胸を張る。

大阪ガスの野球を象徴するのが昨年阪神にドラフト1位で入団した近本光司外野手(24)であり、今年楽天にドラフト1位指名された小深田大翔内野手(24)。小深田はこの日、盗塁こそなかったが、俊足を生かした内野安打と好走塁で3点目のホームを踏んだ。

土井は「近本や小深田はすごい。近本は(社会人時代も)常に走っていた。けん制を何球もらっても走りますから。僕なんかは2~3球もらったら疲れて走れない」と後輩の突出した脚力を表現する。近本が1年目でセ・リーグ盗塁王に輝いたことにも「本当にうれしい。プロに行っても変わらなかった。近本が活躍しているから、自分らも頑張ろうとなっている」とプロでの奮闘を力に変えた。

小深田は試合後にうれし涙を流した。「すごくうれしい。なかなか思うような活躍ができなかったけど、みんなに助けられて最後に優勝できた」と感無量。全員が同じ方向を向いて突き進んだ大阪ガス。スタンドと一体になった歓喜の時間はいつまでも終わらなかった。