喜び半分-。広島鈴木誠也外野手(25)が26日、都内ホテルで行われた「NPB AWARDS 2019 supported by リポビタンD」に出席した。

主砲として打撃全部門でチームトップの成績を残し、首位打者と最高出塁率の2冠に輝いた。ただチームは優勝を逃し、4年ぶりのBクラスに終わった。来季は悔しさを胸に、広島でのV奪還、日本代表として東京オリンピック(五輪)の金メダル獲得を誓った。

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スポットライトを浴びても、鈴木は最後まで満面の笑みを見せなかった。初の個人タイトルとなる首位打者、最高出塁率の2冠を獲得しても、満たされない思いを隠すことはできなかった。広島から出席した選手はともにベストナインを受賞した会沢と2人のみ。優勝を逃した悔しさがあらためてあふれた。

「これまでは優勝して、こういう場に立っていた。うれしいのか、うれしくないのか分からない。もう少し頑張れば、(チームは)いい方向に行けたんじゃないかと思う」

孤軍奮闘の働きだった。今季は開幕から打線が低調で相手のマークが集中する中でも乗り越えた。「厳しくなったのは今年からじゃない。ボール球は見送り、ストライクは振る」。打率と出塁率だけではない。167安打、28本塁打、87打点、25盗塁と、打撃全部門でチームトップの数字を残した。それでも満足感は一切ない。「すべて足りない。もっともっとレベルアップしていかないといけない。満足することなく、これまで通り向上心を持ってやっていきたい」とさらなる高みを見つめる。

壇上では「チームが優勝するのは、もちろん」とあらためて広島のV奪還を誓った。さらに続けて、侍ジャパンの一員として東京五輪への決意も口にした。「来シーズンはオリンピックもあるので、選手の力はもちろん、ファンの皆様の力がないと優勝できないと思うので、野球界のためにも応援よろしくお願いします」。プレミア12では4番としてMVPを受賞する活躍で世界一に貢献した。今や広島の枠を飛び越え、日本の主砲となった。来年はセ界一とともに世界一となって、再びスポットライトを浴びるつもりだ。【前原淳】