今季限りで現役を引退したイチロー氏(46=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が、学生野球資格回復研修を受けることが12日、分かった。

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現在、イチロー氏が率いている草野球チーム「KOBE CHIBEN」は彼がファンだという高校野球の名門・智弁和歌山に由来する。1日に神戸で同校の教職員チームと試合をしたばかり。その智弁和歌山について「(指導者)資格を取れば教えに行こうかな?」と冗談交じりで言ったという話もある。

実際に同校へ出向くかどうかは別にして資格を取る気持ちは本気のようだ。最近はプロOBでこの資格を取る人は珍しくないが、何しろ日米のレジェンドだけに注目される。

その草野球の練習を行っていた11月下旬。真剣に練習していたイチロー氏からは飽くことのない野球への情熱を感じた。軟式球を握り、軟式用バットを持って硬式との違いを語った。その中で例えば中学生までは軟式球でプレーするメリットにも触れていた。

比類のない実戦経験と同時に誰にも分かる理論を持つ。例えば軽くキャッチボールする時でも必ず球をリリースした後の右手を体の左側までしっかり送る。「こうすると肘を故障しないんですよ」。そう聞いたのは25年も前だ。

誰もマネできない実績を残したイチロー氏が高校生、子どもたちを指導することから、いつか日本球界最大の課題であるプロアマ問題に何らかの好影響を与えられれば。そんな夢まで広げてしまう。【編集委員・高原寿夫】