新型コロナウイルス対策として、グラウンドレベルの取材を制限する厳戒態勢をとなった札幌ドームで、真っ先に快音を響かせたのはオリックスT-岡田外野手(32)だった。

「5番一塁」で先発し、2回に日本ハムで開幕投手を務める有原の5球目、139キロの速球を捉え、右翼席へオープン戦1号を放った。

「感触は完璧でした! 甘く入ってきたカットボールをしっかりと自分のスイングで振り切ることができたと思います!」

閑散としたスタンドには球団スコアラーと報道陣しかおらず、バックネット裏以外は無人。選手の声と打球音だけが響く異様な雰囲気の中、先制ソロを描いた。

選手との接触を少なくするため、試合後のチームへの取材も代表1社を受け付ける形で行われた。前夜も宿舎からの外出を禁止され、普段と勝手が異なる中でオープン戦は続く。昨季は不振で20試合出場で1本塁打だった10年の本塁打王は「まだまだ、もっといいものを求めていきたい」。オフは若手に交じってプエルトリコのウインターリーグで武者修行し、春季キャンプ終盤から好調を維持。この1発は復調のきっかけとなりそうで、西村監督も「これを維持してくれたら今年は復活してやってくれるのでは」と期待を込めた。

T-岡田の今季目標はシンプルだ。「143試合全てに出る。そこを最低限の目標にしてキャリアハイを目指す」。背番号55が完全復活すれば、昨季最下位だったチームには大きな勢いとなる。【真柴健】