ソフトバンクのベテラン左腕が3年ぶりの開幕ローテーション入りを決めた。和田毅投手(39)が4日のヤクルト戦にオープン戦初先発し、4回を3安打1失点。1発こそ浴びたが、直球にキレを取り戻し、5三振を奪った。試合後、工藤公康監督(56)は新助っ人マット・ムーア投手(30=タイガース)とともに開幕ローテ入りに合格点を与えた。

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全盛期をほうふつさせる空振り三振だった。4回2死走者なし、打者西田に対してソフトバンク和田がフルカウントから直球を投じた。球速は136キロながら、西田のバットは空を切った。オープン戦初登板の最後の打者。61球目はキレ味抜群の直球だった。

和田 やはり自分としては投げやすいマウンドだった。まずは強い直球を投げられるかだったが、初回から感じよく投げられた。

球速にも表れていた。1回1死後、2番山田哲に対して空振りの三振を奪った直球はこの日の最速141キロだった。その直後に塩見に1発を許したが、続く雄平には139キロの直球で空振り三振。5三振のうち、4つをストレートで奪った。「ようやく直球の感覚が戻ってきた。2日前から感じが良かった」。2回以降、走者を出す場面もあったが、動じることなく打ち取ってピンチを切り抜けた。カーブ、スライダー、チェンジアップ。「甲斐とも変化球のいろんなバリエーションをふやしていこうと話して、配球でもいいリードをしてくれた」とニッコリ。多彩な変化球も低めに集め、味のある投球術が復活した。

新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、無観客試合でのオープン戦が続いている。「こんな事態になって、初めてファンの声援が自分たちの力になっていることが分かった。無事に開幕となった時は、あらためてファンに感謝を伝えたい」。非常事態に心を痛め、あらためてファンのありがたさを口にした。「やることはやらないといけない」。開幕への気持ちは人一倍強くなっている。

工藤監督は頼もしいベテランの投球に、目尻が下がりっぱなしだった。「良かったですね。期待がどんどん高まりますね」。3番手として2回2/3を無失点に抑えたムーアとの開幕ローテーション入りに「決まりつつあります。2人ともそういう方向で考えてます」と言い切った。「抜けたチェンジアップもあったし、直球もまだまだ。開幕までしっかり調整していきたい」。経験豊富な左腕が、開幕からスタートダッシュをかける。【浦田由紀夫】