日本プロ野球機構(NPB)とJリーグは12日、都内で両法人で設立した「第3回 新型コロナウイルス対策連絡会議」を行い、感染症の対策に関して専門家チームから新たに具体的な提言を受けた。

終了後の会見に出席したNPBの斎藤惇コミッショナーは「スポーツイベントを適切、安全に開催するにはどうするか、客観的なデータをいただいた。我々が責任を持って決断する」と話し、12球団での会議をして今後の予定について協議するとした。またJリーグの村井満チェアマンは「日本全体にぜひ知ってほしい提言をいただいた」と話し、JリーグやNPBのホームページなどを通して提言を公開すると話した。

会見には第2回会議と同様に東北大学名誉教授と東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授を兼務する賀来満夫氏、愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授の三鴨廣繁氏、東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授の舘田一博氏の専門家チーム3人も出席した。三鴨氏は、「実際にスポーツ観戦をした経験も織り込みながら、具体的な対策を考えた」と説明した。

チームに向けては、同じポジションの選手が可能な限り行動をともにしないことなどが指摘されている。また観客となる人々に向けてはスタジアム内コンコースの移動制限、入場ゲートの前に待機場を作って混雑緩和を狙うなど、細部にわたった。また応援スタイルについてもメガホンや指笛、旗の使用など細かく分類され、感染の危険度が示された。

観客を入れて試合を開催するには、スタジアムへのサーモメーターの設置など多くの対策準備が必要になるなど、提言のハードルは低くない。スタジアム外でも、公共交通機関の駅の混雑なども考えられる。斎藤コミッショナーは「最寄り駅の交通機関との会議もセットされると思う」と、移動時の対策について言及。村井チェアマンは「分散した入退場など、個々の対策も」と話した。全試合を開催する前提で、スケジュールの繰り下げなど検討を進めている。

また、この日は選手に陽性者が出た場合についても議論された。賀来氏は「検査を早く受けることを含め、濃厚接触者をチェックして感染が広がらないようにするのが大前提。チームにいればすべてが濃厚接触かという議論もした。陽性者が1人出たら全員が自宅待機になるかについては、個々のケースで考えていこうという結論」と話した。選手個々の行動を細かく記録する、ロッカールームやシャワーを時間差利用するなど、混乱に陥らない予防対策が重要とした。

同会議はNPBとJリーグが連携し、新型コロナウイルスの感染拡大防止、選手、スタッフらの安全確保を行っていく異例の取り組み。多くの他競技団体なども、オブザーバーとして参加している。