新型コロナウイルス感染から回復した阪神藤浪晋太郎投手(26)が19日、甲子園室内練習場で行われた「分離練習」に合流した。この日から矢野監督やコーチ陣の視察が解禁され、午前が投手、午後が野手の「分離練習」を開始。鳴尾浜で自主練習を続けていた藤浪も節目のタイミングで55日ぶりに甲子園で汗を流した。早速ブルペンで65球を投げ、開幕ローテーション入りへ再スタートを切った。

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早朝に降った雨の影響を受け、浜風と黒土の匂いはお預けとなった。それでも気持ちは高ぶった。

3月25日以来、55日ぶりとなった甲子園練習。藤浪は室内練習場で汗を流した後、広報を通じて「甲子園の練習に合流させてもらって、久しぶりにユニホームを着て練習できた。野球をしているなというか、野球ができてうれしいというか、そういう気持ちです」と素直な感情を言葉にした。

3月26日深夜に新型コロナウイルス感染が判明。翌27日から4月7日までの入院期間は体幹トレや腕立て伏せ、シャドーピッチングを継続した。退院後は自宅待機となったが、ダンベルや投球用ネットを使い、懸命に状態をキープ。4月24日からは鳴尾浜で自主練習を続けてきた。

チームはこの日から矢野監督やコーチ陣の視察を解禁。これまでの自主練習という形態を解除し、午前が投手、午後が野手の「分離練習」をスタートした。まだ1、2軍が振り分けられていない段階とはいえ、節目のタイミングでの甲子園合流。変わらぬ期待を感じ取り、モチベーションが上がらないわけがない。

ブルペンでは早速、変化球も交えて65球を投じた。「もう少しああしたい、こうしたいという部分はありましたけど、ボール自体は走っていた。体の状態も万全なので、あとは技術的な部分をしっかり練習してやっていければ」。鳴尾浜で投げ込んだ証しを首脳陣に披露し、コメントから充実感がにじみ出た。

新型コロナウイルス感染が判明した直後は、大人数での会食に参加していた事実に非難の声も集まった。「非常に軽率でした…」。胸に抱く反省は行動で示し続けるしかない。

現状、シーズン開幕は最短で6月19日。固まっていない開幕ローテ5、6番手の競争が再び本格化する。「状態を上げていくことも、技術的にレベルアップすることもそう。この1カ月でできることを考えて、1日1日しっかり取り組んでいきたい」。一瞬たりとも無駄にはできない。【佐井陽介】

◆分離練習 阪神は甲子園、鳴尾浜で午前を投手、午後が野手に分かれ、全員参加の「分離練習」を開始した。矢野監督ら首脳陣も合流。ユニホームを着用して練習する。これまで自主練習で基本は自由参加。甲子園、鳴尾浜で投手、野手がともに2グループに分割。それぞれが午前、午後の時間帯に振り分けていた。「8分割」だったグループはこの日から「4分割」になった。