右上腕部の張りなどで出遅れていたソフトバンク千賀滉大投手(27)が、今季初実戦で復活への力強い第一歩を記した。

2軍練習試合のオリックス戦(オセアンBS)に先発。昨年10月19日の日本シリーズ巨人戦以来232日ぶりの登板だったが、最速157キロをたたき出した。150キロ台連発で1回1/3を1安打1失点(自責0)。7月中の1軍戦列復帰へ視界が開けた。

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観客はいない。それでも両軍ベンチとスタンドのわずかな関係者から、どよめきの声が出た。千賀が昨年日本シリーズ以来、232日ぶりに投じた初球は球場のスピードガンで156キロを記録した。2球目にこの日最速の157キロ。エースが復活への大きな1歩を踏み出した。

初回は先頭から2者連続で四球。それでも後続を打ち取り無失点で発進。2回は先頭の白崎に死球のあと山足に安打され、1死を取ったところで降板した。交代後に味方の捕逸で得点を許し、1失点(自責0)はついたが、予定の30球を投げ切った。

「久しぶりのバッターということもありますし、今やっているフォームの見直しの部分をしっかり出せたらなと思っていた。まだまだデキが悪いですけど。まず肩肘が大丈夫なのが一番かなと思います」とすがすがしい表情。球速については「球場のガンですからね。感覚的には力のない150キロくらいのイメージですね」と冷静に振り返った。

長い道のりだった。キャンプイン直前に右ふくらはぎに違和感が出たため、2月1日から別メニュー調整でスタート。1度はブルペン投球を再開したが、2月末に右上腕部の張りが出たためリハビリ組へ移動した。当初の開幕予定だった3月20日時点では、ノースロー調整だった。4月に自主練習期間に入ってからキャッチボールを再開。開幕が遅れたことで、大きく後れを取ることなく、7月にも戦線に戻るめどが立った。

だが、万全復帰へ表情が緩むことはない。「目標に合わせてしょうもないピッチングで(1軍に)帰っても邪魔。しっかりいい球を放れる準備をして上がれる方が大事かなと思います。焦って戻ってすぐいなくなるよりは、しっかり最後までいれるように」。開幕ローテーションは東浜、ムーア、和田、バンデンハーク、石川、高橋礼、二保、松本と候補が豊富で、焦らず調整していく方針。登板を重ね、満を持して1軍に戻る。【山本大地】

千賀の投球結果

<1回>

西浦 四球

西村 四球

大下 投犠

松井佑 一邪飛

宗 遊ゴロ

<2回>

白崎 死球

山足 右前打

フェリペ 投ゴロ(バントを三塁封殺)