巨人菅野智之投手(30)が、原監督にメモリアル勝利をプレゼントした。3年連続となる自身6度目の大役で7回2失点。別所毅彦、斎藤雅樹に並び、球団最多タイの開幕戦4勝目を刻んだ。「偉大な2人に並べたのは光栄。もっともっと積み重ねたいです」。

85年の時を重ね、巨人の伝統や歴史は紡がれる。昨季終了後、菅野は目標の60試合を超える67試合に登板した中川に高級時計をプレゼント。平成、令和にまたがるエースもまた、歴代のエースから脈々と受け継がれる伝統を継承した。「いつか、僕もそういう選手になれるように」。後輩左腕はエースの思いに感謝し、次世代へと心を向けた。

07年オフ、同じ思いを抱き、継承を誓ったのは内海(現西武)だった。その年に最多奪三振を獲得。当時のエース上原からサプライズで高級時計を贈られた。4年後の11年オフ、内海は新人王を獲得した沢村に高級時計を贈った。エースから期待の若手へ-。“ジャイアンツタイム”は常勝の象徴である。

受け継がれる伝統もあるが変革も恐れない。20年、菅野は進化に向け、腕から始動する新フォームで挑む。新型コロナウイルスで約3カ月遅れ、無観客で迎えた異様な開幕。「正直こんなにプレッシャーを感じたのは初めて」と言った。投球前、目を閉じ、心の中で誓ったのは「感謝の気持ちと1年間マウンドを守り抜く」決意。帽子のつばにしるした「覚悟」の1年が白星から始まった。【久保賢吾】