近本よ、はい上がれ! 阪神矢野燿大監督(51)が打率1割1分4厘と絶不調の近本光司外野手(25)を「心中覚悟」で起用する。

開幕3カード負け越しで最下位に低迷し、30日からは中日3連戦(ナゴヤドーム)。不振にあえぐキーマンについて、指揮官は「使っていく」と明言。背番号5の復調がチーム浮上のカギを握る。

   ◇   ◇   ◇

22年ぶりの開幕3カード連続負け越しを喫した矢野阪神。チーム打率は12球団ワーストの2割4厘と波に乗れない。沈黙を続ける打線の中でも、規定打席到達者ワーストの打率1割1分4厘と苦しむ近本の深刻さは際立つ。このまま起用を続けるのか、それとも…。矢野監督は一蓮托生(いちれんたくしょう)を明言した。

「信じてというか、もちろん我慢して。我慢というか、使っていくつもり」

プロ2年目の近本は当初の構想通り開幕2番でスタートし、3戦目の21日巨人戦から1番で出場。その試合で今季初安打となる先頭打者アーチをマークし、続く23日ヤクルト戦(神宮)では右中間二塁打など2安打を放った。だが、その後調子は上向かず。シーズン159安打のセ・リーグ新人最多安打記録を作ったヒットマンが、まさかの打率ランキング最下位に沈む。

いったい何が起こったのか? 近本の現状を説明したのは矢野監督だ。

「あいつは逆方向にヒットが出るイメージがあるんやけど、そういうのがないもんね。技術的に言うと、ちょっとバットが外回りする。どうしても切ったようなファウルフライとか、引っ張ったゴロとか、そういうのが多い」

確かに今季の本塁打を含めた4安打はすべて中堅から右翼方向。凡打も一ゴロ、二ゴロが目立つ。内は引っ張って、外は左へ。本来はコースに逆らわないグラウンドを90度いっぱいに使った打撃が真骨頂。その近本らしさが消えている。

頭を抱えて苦悩するリードオフマンを間近で見ている矢野監督は「もちろん、いろいろ練習で試しながらやっている」と、復調を信じて待つ覚悟だ。30日からは1ゲーム差で追う5位中日との3連戦。開幕4カード連続負け越しなら、最下位に沈んだ96年以来24年ぶりの屈辱となる。もう、負けられない。頼むぞ、近本! 打ってくれ!【桝井聡】