オースティンパワーで巨人をのみ込んだ。DeNAタイラー・オースティン外野手(28)が打棒をさく裂させた。1点を追う8回2死満塁、走者一掃の3点適時三塁打で試合を決めた。データを駆使するラミレス監督の予言も勝負どころで的中。首位巨人と0・5ゲーム差に再接近した。

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両目の下にアイブラックを塗り込んだオースティンが巨体を揺らした。1点差に迫った8回2死満塁。1ストライクからの2球目、高めに浮いた125キロチェンジアップにバットを合わせた。2球続けた変化球を完璧に仕留め「正直なところ、深くは考えていなかった。ここ数日はタイミングが少しずれていた。フェアゾーンを意識して、強いスイング、ハードコンタクトを意識した」。右翼手パーラーのグラブが届きそうで届かない。絶妙な逆転打で三塁を陥れた。

新助っ人に絶対的な信頼を置くラミレス監督は、極めて冷静だった。首位巨人との今季初カード。前夜の初戦は打線が振るわず落とした。「例年、7月は状態が上がってくる」とロペスを3戦ぶりにスタメン起用。先発に抜てきした桜井も「去年、東京ドームで3イニング。巨人戦は失点していない」。昨季の巨人戦は3試合に登板し、計3回1/3を無失点に封じた3年目左腕を送り出した。

試合後、この予言を思い返し納得顔でうなずいた。ロペスは3打数1安打1四球(敬遠)。桜井は3回1/3を7安打3失点で「もう1イニングいってくれればもっとよかったが、3回まではいい投球だったし、全体的にはいい仕事をした」。データからはじき出したイメージ通りの試合運びで、逆転勝利につなげた。

一番大事な予言は完璧に的中させた。決勝打のオースティンを「選手、監督として日本でやってきたが、おそらくベストなテクニックを持っている。ロペス、ソトの1ランク上のステージになり得る」と開幕前から明言。8回1死満塁、昨季の巨人戦で25戦13発、31打点のソトが空振り三振。2月16日の巨人とのオープン戦で2打席連続弾だったオースティンは「対戦するチームとしては、とても楽しい相手だと思っている」。当然のように打った。【為田聡史】