待望の1発はファンが後押しした。ソフトバンク松田宣浩内野手(37)が「有観客」となった初日に待望の今季1号を放った。一塁側ベンチ前でナインと「エアハイタッチ」を行うと、1839人の前で「熱男パフォーマンス」を行った。

0-0で迎えた2回2死走者なしの第1打席。楽天先発の則本昂の149キロ速球を捉えた打球は、右翼ホームランテラスに吸い込まれた。「打ったのは直球。しっかり捉えられたし、1本出てくれて良かったです。今日からお客さんが入ってくれているのもあるし、もっと打ちたい」。今季19試合、72打席目での初アーチ。この日にとっておいたような先制ソロは、詰めかけたファンへの大きなプレゼントとなった。

開幕から栗原、柳田、バレンティンとともにスタメンで出場を続けながら、試合前まで打率は1割6分2厘。ベテランとはいえスタメンを外されてもおかしくない状況だったが、ファンの存在が松田宣を勇気づけた。

試合前、王球団会長がペイペイドームに隣接する施設に移転した「王貞治ミュージアム」を内覧し、チームの奮起を促していた。観客の前での試合に「ファンの反応や、熱気を感じられるのは本来のペース。選手たちは別人のように張り切ってやってくれる」と話し、同行した城島特別アドバイザーも「お客さんが入って日常に戻る。ホークスも1つギアが上がると思う」と期待していた。元気のなかった「チームの元気印」の1発は、王球団会長と城島特別アドバイザーの思いに応える1発でもあった。【浦田由紀夫】