阪神先発の青柳晃洋投手(26)が雨の甲子園でファンの声援を力に変えた。5回4安打2失点。泥だらけになってつかんだ2勝目は、今季最長のチーム4連勝をもたらした。

1点差に詰め寄られた5回2死一塁。青柳が1球を投じるたびに、拍手が球場を包み込み、次第に手拍子へと変わっていった。「拍手もそうですし、『頑張れー』って声も聞こえてきたので、本当に励みになりました」。ぬかるんだマウンドに足をとられ、何度も体勢を崩しながら、粘るソトに必死に投げ続けた。カウント2-2からの8球目、外角低めに決めたスライダーで空振りを奪った。

「やっぱり最後厳しい時に、ファンの声援で三振を取れたかなと思うので、すごくありがたかったです」。今季初めてのファンのエールに背中を押され、5回を投げきった。その後雨が激しくなり、そのままコールドで試合終了。もし、ソトに打たれていたら、雨で中断し、ゲーム自体が成立しなかったかもしれない。

初回、先頭の梶谷に本塁打を浴びても、すぐに切り替えた。ツーシームを主体にテンポよく投げ続け、奪ったゴロアウトは10個。「雨の中、本当に野手にやめてくれって言われてたんですけど(笑い)僕はそういうスタイルなんで、自分のスタイルを貫いてなんとか投げました」。昨季も3度の先発予定が雨天中止となった「雨男」。この日は7、8日の登板予定が延び、やっと巡ってきたマウンドだった。「前日の調整を何回も何回も…」。難しい調整にも動じず、気持ちを切らさなかった。

矢野監督は「最高のピッチングだった」と悪条件で投げ抜いた右腕の成長を実感。「最後のひと押しってのは間違いなくあるし、ファンに入ってもらえるってやっぱりすごいことやなって」。最後の1アウトを後押しした、ファンの存在の大きさを再確認した。

3戦2勝の青柳は、これで先発陣リーグ3位の防御率1・59。「結局マウンド上がっても雨男って状況だったので。雨男スタイルを貫いて動じず頑張っていきたいと思います」。26歳の右腕が、雨もしたたる強い男になった。【磯綾乃】