新主将の楽天茂木栄五郎が、暗雲をぬぐい去った。勝ち越しの決勝適時三塁打を放ち、引き分けを挟んだチームの連敗を4で止めた。

8回。先頭小深田の四球後、三木監督から「思い切り振ってこい!」と背中を押された。「バントかなと一瞬思った。我慢して使ってもらえて、話も聞いていただいて、いつも的確な指示をいただける監督の声を信じて振り抜きました」。オリックス・ヒギンスの直球を強振すると、打球は霧雨を突いて右中間を割った。

どんよりとした空気を、何とか変えたかった。昨季は10連敗を経験。3位にとどまった。引き分けを挟み2連敗後の24日。試合前に指揮官から「今日負けても明日勝つという強い気持ちでやろう」とキャンプからすり込まれた言葉をかけられた。「選手はみんな強い気持ちでやっていた。僕は口下手なのでプレーで引っ張りたい」。決勝打を放ち、三塁到達前からベンチへ右拳を上げた。気迫で勝ちをもぎ取った。

初回に先発藤平が危険球退場。浅村のヘッドスライディングや2戦ぶりスタメンの4番島内の3安打などでオリックス山本の牙城を崩した。「頼もしい先輩方を見習って、背中で引っ張っていけるようなキャプテンに成長したい」。首位ソフトバンクに0・5差を維持。頼れるキャプテンが光を差した。【桑原幹久】