ウエルカム、東京ドーム-。巨人岡本和真内野手(24)が、今季東京ドームで初観戦したファンに代名詞の1発でメッセージを届けた。

同点の4回1死、滞空時間7秒34(日刊スポーツ計測)の放物線を描き、左翼席へリーグトップとなる決勝の12号ソロ。17年オフから3年連続で合同トレを行う西武中村の教えを実践する「品のある」アーチで、13年以来7年ぶりの両リーグ最速の20勝へと導いた。

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東京ドームに乾いた音が響いた瞬間、チームメートが、4915人の観客が、天井スレスレに高々と上がった打球を見上げた。同点の4回1死。DeNA井納の内角高め148キロの直球だった。岡本が、「無限のかなたへ」届かんばかりのフルスイングで描いた7秒34の放物線はファンの思いを乗せ、左翼席に飛び込んだ。

岡本 ずっとビジターだったので、ホームでファンの方が応援してくれるのはありがたいですし、力をもらえたと思います。

ファンにとって、昨年のソフトバンクとの日本シリーズ以来、279日ぶりとなる東京ドームでの観戦だった。同戦でも6回に2ランを放った主砲が、屈辱の4連敗で止まったままだった観戦記を華やかに進めた。「ビッグベイビー」あらため、「2代目若大将」のすごみをリアルで伝えた。

「入れ~」と願ったファンとは対照的に、岡本は「打った瞬間、いくなと思った」と確信した。3年前の17年、弟子入りした西武中村に言われた。「打球が上がらんと本塁打にならん」。当時、岡本はロングティー打撃でライナー性が多かった。この練習時、中村の打球の平均滞空時間が5・8秒だったのに対し、3・5秒。「息の長い、品のある打球を打て」の金言を7秒34の放物線で体現した。

3度目となる昨オフの合同自主トレ、説かれたのは手首の意識だった。逆方向への長打が持ち味だが、左翼への本塁打が少ない傾向がみられた。昨季は31本中、中堅から右翼方向が17本。「インパクトの後、もう少し手首を返さないように意識してみたら?」と助言され、左方向への打球がファウルゾーンにフックする傾向を修正した。今季12本塁打中、左翼へは6本目。「ちゃんととらえたので」と切れずに、ファンの思いとともに、左翼ポール際に吸い込まれた。【久保賢吾】

▽巨人原監督(滞空時間の長い岡本の本塁打に) まあ、パワーでしょうな。