プロ10年目のソフトバンク柳田悠岐外野手(31)が、節目の1000安打で14安打9得点の逆転大勝に貢献した。

3回に西武今井から、反撃の口火となる右越えフェンス直撃の弾丸安打を放って達成。さらに2安打を重ねて今季6度目の猛打賞とし、同点のホームを踏むなど、1四球3得点のおまけつきで花を添えた。チームは2連勝で貯金を今季最多の5に増やし、がっちり首位キープだ。

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節目の一撃は柳田らしい打球だった。3点を追う3回1死一塁。西武今井の低め直球をやや強引に、パワーで持っていった。特有の高速ライナーで、右翼フェンスまで一直線。打球が速すぎて単打になった。一塁上で記念ボードを掲げ照れ笑い。「よくこんな打ててるなと思います。プロ入りした時はプロで1本打つことが目標で、まさか自分がこんなにヒットを打てると思っていませんでした」。柳田の1000本目から好機が広がり、この回2点を奪って反撃が始まった。

1点ビハインドの5回1死は左翼線へ二塁打。中村晃の適時打で同点ホームを踏んだ。同点の6回2死一、二塁は粘って四球。続く中村晃の勝ち越し3点打を呼び込んだ。8回にも1002本目となる内野安打で、今季6度目の3安打。「これからもまだまだ、チームのために打ちたいと思います。シーズンは長いので1戦1戦やっていくだけです」。この日で出塁率を驚異の5割7厘とした最強打者が、チームの14安打9得点の逆転勝利に貢献した。

“運命”が通算2000安打への道をつないだ。左膝裏を痛めて長期離脱を経験した昨季、ポツリと言ったことがあった。「野球は36歳まで。他にやりたいこといっぱいあるもん」。近年では早期といえる引退を思い描き、楽しそうに未来を想像していた。だが今年の予定だった海外FA権取得が遅れたこともあり、オフにはメジャー挑戦への思いを封印した。「そういう運命なのかな、と思いました」。ソフトバンクと7年契約。「人生設計」は38歳シーズンまで、2年予定が延びた。「そこまで長く野球ができるのは幸せ」。運命を受け入れ、日本で走り抜ける覚悟は決まった。

プロ10年目で通算912試合目。試合数では球団史上4番目の速さで大台に到達した。「無理でしょ。そんな甘くないです、プロ野球は」と笑うが、契約が残る7年間で本領を発揮すれば2000安打も夢ではない。“延長戦”となる晩年に、金字塔を見せてくれるだろう。【山本大地】

▽ソフトバンク工藤監督(1000安打の柳田に)「打つ前から、きょうは打つだろうなと思っていたので、おめでとうと言わせていただいた。彼が中心となってみんなを引っ張っていってほしいと思いますし、これからもチームをいい方向へどんどん持っていってほしい」