復調弾。広島堂林翔太内野手(28)が中日9回戦の4回に3試合ぶりの7号2ランを放った。ここ数試合は三振や左方向への凡打が目立ち、この日は打順を下げた。セ・リーグ首位打者は奮起し、一時逆転となる1発。守備でも軽快な動きを見せ、凡打も内容ある打席だった。5カード連続勝ち越しなしの引き分け試合で、大きな希望を与えた。

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確かな感触が残る両手にバットを握ったまま、堂林は一塁方向へ歩を進めた。1点勝ち越された直後の4回。中日先発岡野の初球117キロの緩いカーブにバット一閃(いっせん)。左中間方向に伸びた打球はそのままスタンドに着弾した。試合終盤、チームは追いつかれて勝つことはできなかったものの、3試合ぶりに飛び出した豪快な7号2ランは、明日につながるアーチとなった。

「自分のベルトゾーンに来たらいこうと思っていたら、その通りの球が来たので、自分のスイングができたかなと思います」

変化球は当然、頭にあった。打率リーグトップをキープする好成績から、対戦相手からのマークは厳しくなる。直球に強い傾向もあり、変化球主体の攻めが続く。開幕から全打席の直球率は4番鈴木誠の34%よりも低い32・6%。今季の堂林へ警戒心の高さを示す数字といえる。

だが、21日から打率は右肩下がり。28日の捕ゴロを除くと、5試合続けて凡打がすべて左方向への打球と打撃内容も良くなかった。試合前まで6試合連続三振と三振数も増え、この日は打順を7番に下げた。1打席目に空振り三振を喫したものの、3打席目以降の凡打はいずれも右方向。「自分の中では内容的には良かったかなと思います。本塁打のあとにああいう内容(の打撃)がしっかりできたので明日からも続けていたらと思います」。1発だけでない打撃に復調気配は見える。守備でも、ゴロアウトを積み重ねるK・ジョンソンをもり立てた。

チームは7回に追いつかれて、勝ちきることはできなかった。5カード連続で勝ち越しなし。「なかなか勝ち越すことができていないので、なんとか明日、全員の力で頭(初戦)を取れるように。自分も貢献できるように戦っていきたい」。停滞するチームの中、復調気配の堂林がチームを勢いづける役割を担う。【前原淳】