これが4番! 阪神大山悠輔内野手(25)が逆転の2点タイムリーを放ち、1分けを挟む連敗を3で止めた。DeNA平良の前に0行進で、今夜もかと嫌なムードが漂った矢先。本塁打&打点のチーム2冠が、6回1死二、三塁でしぶとく右前に落とす勝負強さを発揮し、虎党を歓喜に導いた。チームを借金から5割に押し戻し、4日からは5差で追う首位巨人3連戦。「勝つだけ」と必勝宣言した4番が一気の3連倒を目指す。

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連敗を止めたのは、4番の泥臭い一打だった。「ウル虎の夏」初勝利を待ちわびたファンの思いが、大山の打球を後押しした。1点を追う6回1死二、三塁。先発平良の外角128キロスライダーに食らいついた。「どんな形でもランナーを返すことだけを考えていました」。当たりは良くなかったが、フラフラと上がった白球は右前で弾んだ。ウル虎限定のレプリカユニホームをまとったスタンドが、その瞬間を待っていた。

2度目の対戦となった好調右腕を返り討ちにした。平良は試合前まで防御率1・88でリーグ2位、開幕から6戦連続クオリティースタート(6回以上、自責点3以内)と、抜群の安定感を見せていた。前回対戦の7月12日(甲子園)では、投手戦の中で大山が平良から先制V打。この日は前試合の再現とばかりに、逆転V打で試合を決めた。

引き分けを挟んでの連敗を3で止めた。白星がなかった4試合、大山は16打数3安打。打線の軸となる4番の成績は、チームの勝敗に直結する。「自分が打てば勝ちにつながるし、打てなかったら負ける。そういう立場にいることは分かっている。大事な場面で打てて良かったと思います」。昨季は4番スタメンを108試合張った。重責と戦いながら、主軸としての強い自覚がある。

矢野監督は殊勲打を評価した上で、さらなる高いレベルを求めた。「もちろんどんな形でも点になればいい。でも、もっと大きな打者に育ってもらいたい。ヨシッ! という部分と、もっと! という部分を悠輔自身も持っていると思う」。言葉は熱を帯び「これからもランナーがいるところで、相手が絶対打たせないと投げてくるボールをどう打ち返すかが4番だと思う。そういうバッティングを期待しています」と力を込めた。

チームは抱えた借金を1日で返済して勝率を5割に戻し、4日からは勝負どころの9連戦に挑む。最初のカードは首位を走る巨人を甲子園で迎え撃つ。お立ち台に上がった背番号3はきっぱり言った。「もう勝つだけだと思うので、チーム一丸となって頑張っていきたいと思います」。現在5ゲーム差。4番の有言実行で3連倒、一気に2差まで詰めにいく。【奥田隼人】