<オリックス3-9ロッテ>◇8日◇京セラドーム大阪

ロッテ二木康太投手(25)が初回1死、規定打席到達者で三振数が12球団最少のオリックス吉田正から三振を奪い、今季初勝利への道筋を作った。

直球、カーブ、フォークボールは全て低く外れ、3ボール。しかし、丁寧だった。焦りもない。内、外と直球2球で流れを戻す。フルカウント、最後の球は?

前回6月23日の対戦ではフォークを続けてカットされ、直球に絞られ致命的な適時打を浴びた。1勝目が逃げたほろ苦さから「フォークのケアも入ってくる」と思い出す。リベンジは「強い球で、割り切って」と直球を選択。バットは空を切り、二木は息を吐いた。

時にバックを眺め、マウンドをならし、自分の時間軸を保った。2回途中6失点で2軍落ちした6月30日楽天戦では、甘い初球を狙われ続けた。繰り返せない。「試合にしっかり入れるよう」「回の先頭打者を気をつけて」とマクロから意識、各打者の初球にまで繊細だった。

26人と対戦し、14人にボール球から入った。それでもストライク率は66%もあった。生命線の制球力を生む地盤も2軍で磨いてきた。「右足の親指が、投げにいく時に浮いてしまって、力をロスしてしまっていたので」。7回5安打2失点と結果は出たが、本人も井口監督も評価は「まだまだ」。力が抜群でなくても、課題を消し、リスクを減らし、勝負どころでは胆力で攻め込む。背番号18が、今年のロッテの戦いぶりを凝縮したような粘りを見せた。【金子真仁】