これが“レベチ”な4番の働きだ。日本ハム中田翔内野手(31)が楽天11回戦で両リーグ一番乗りとなる20号をマークした。3点リードの5回、広い札幌ドームの右中間スタンドへ放った一撃は、自身3年連続8度目となる節目の20号。不動の3番近藤が負傷欠場するピンチを、本塁打、打点で両リーグトップを爆走する主砲が救った。チームは再び勝率5割に復帰。熱いパ・リーグを、中田が盛り上げる。

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感触はバッチリだった。中田の描いた大きな放物線は右中間席へ飛び込んだ。「理想に近いというか、札幌ドームで逆方向に打てたというのはうれしい」。3点リードの5回2死、塩見の134キロのフォークを一振りで仕留めた。打球は広く深い右中間最深部、5・75メートルの外野フェンスをも越えてスタンドへ届いた。まさにレベチな弾道で、12球団一番乗りの20本塁打に到達した。

55試合目で20発は自己最速。シーズン43発のハイペースを刻むが、実現への手応えは十分だ。「札幌ドームで入れば、どこでも入るのでね」とニヤリ。本塁打が出にくいとされる球場が本拠地で「他の球場がうらやましい。何本、ホームランを損しているんだと考えた時に、ちょっと悲しくなる」と自虐的に振り返ったが、今季の中田はレベルが違うのだ。「フリー打撃でもしっかりと意識した中で、逆方向に打つようにしている」と練習から高い意識を継続。アーチ量産は止まりそうにない。

球団では張本勲氏の13度に次ぐ、8度目のシーズン20発となった。「13度、あと5回…。どうすかね。あと5年も、このチームに残してもらえるかもわからないですから」と中田節も絶好調。「コツコツと頑張っていけたら」と笑った。

この日は開幕から3、4番を組んできた近藤が右ふくらはぎ打撲で欠場した。「(打率)3割5分を打てる代わりはいない。今日みたいにみんなでカバーしあって、コンちゃん(近藤)が帰ってくるまで、なんとか粘りたい」。初回の2点適時打も含めて、この日も3打点と打線をけん引。今季64打点となり、打点でも両リーグトップを独走。頼もしさのレベルも、今までとは違う。

栗山監督は「まだまだ、こんなものじゃないので」と期待値は高い。通算250本塁打まで、あと4本と迫り、自身2度目の30発超えも射程圏内だが、中田は「どうでもいいね。それよりも打点をもっと増やしたい」。周囲の想像を軽く超えるレベチな活躍が続けば、チームはおのずと浮上する。【山崎純一】