ソフトバンク千賀滉大投手(27)が今季初めての無失点投球で5勝目を挙げた。今季最長の7回を投げ、2安打9奪三振。オリックス山本との投げ合いを制した。この日から1カード3連戦の日程がスタート。エースらしい投球で、3連勝に貢献。首位の座をがっちりと守った。

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千賀が最大のピンチで宝刀を抜いた。2点リードの7回2死満塁。オリックス・ロドリゲスに対し、フォークで空振り三振。3球勝負だった。「自分でつくったので…」と3四球で危機を招いたことを反省。それでも、毎回の9奪三振で7回無失点。今季5勝目を挙げ「今までチームの力になるようなピッチングができていなかった。やっと力になれたかなと思っています」と振り返った。

今季8度目の先発で初めて「0」でマウンドを降りた。ここまで7度の登板はすべての試合で失点していた。「7回の壁」も今季初めて越えた。過去2度、7回のマウンドに上がったがどちらもイニング途中で降板していた。3度目の挑戦で投げきり「もっとスムーズにいけていたら、8回もいけていたかなと思いましたけど…。まずは先発らしい仕事を初めてできたかなと思います」とうなずいた。

エースと呼ばれる男は納得のいく投球ができず、歯がゆさを抱いていた。「この1週間は和田さんがぼくのために時間を使ってくれたので、濃い話もできた。やってきた人間だからこその悩みだったり、ズレだったり。ぼくと同じ10年目くらいの時にあったと言ってもらって、楽になりました」。百戦錬磨のベテランからの助言が力になった。「本当に難しい立場というのをあらためて認識していますし、やらなきゃいけないと思って、自分に言い聞かせてこれからもしっかりやっていきたい」と口元をキュッと引き締めた。

チームは3連勝で首位をキープ。工藤監督に、秋山前監督を抜き球団史上単独5位となる通算457勝目をプレゼントした。指揮官もエース復活を感じさせる投球に「彼がドシッと火曜日にいるだけで全然違う。それくらい彼には責任感を持って投げてほしい」と期待を込めた。【山本大地】