3度目の投げ合いでついに無傷の右腕に投げ勝った。2年目左腕のロッテ小島和哉投手(24)が、楽天打線を7回5安打無失点に封じる好投で4勝目を挙げた。開幕から8連勝中だった相手先発の涌井秀章投手(34)に、今季初めて土をつけた。自己最多の11奪三振。昨季はチームメートだった“先輩”との対戦を制し、2連勝でカード勝ち越しを決定。上位を争う楽天に2・5ゲーム差を付けた。

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投げ勝った、と言われると恐縮してしまう。でも事実、小島は投げ勝った。「まだプロで経験も登板数も浅いので…。本当に、これまで初回の失点が多かったので、そこだけしっかり抑えようと。初回から120%の力でいきました」。楽天涌井はこれまでの防御率が示す通り、今回も2失点でまとめた。大きく崩れたわけじゃない。それでも勝てたのは、小島がゼロに抑えたからだ。

“改革”した。2度の投げ合いで敗れていた。「いろいろ先輩に話を聞いて、フォームもルーティンも変えてみました」。グラウンドにいつもより早く出て、冷房との温度差に体を慣らした。本番前にいつもより多めに動いた。焦りからの投げ急ぎを反省し、軸足にしっかり体重を乗せて投げた。

奏功した。6回の中軸3者連続を含む、自己最多11三振を奪った。真っすぐで押し、チェンジアップでかわした。課題に挙げた初回も1死一、三塁で4番浅村を空振り三振。5番島内を左邪飛に打ち取った。

変化には勇気が伴う。「怖かったですけど、それくらいばくちを打たないと、涌井さんには勝てないと思ったので」。ルーキーイヤーの昨年、涌井は同僚だった。ずっとテレビの向こうにいた人の、裏側を見た。「走り込みをこんなにやるから勝てるんだなとか、練習する姿を見て感じた。1年間しか一緒にいられなかったけど、たくさん学ぶことができました」。努力を知っている。すごさも知っている。だから自分も変わろうと思えた。

初回無失点ともう1つ、小島には進化があった。今季最長の7回を投げ切れたことだ。7月、8月と2試合を6回2/3で代えられた。「何も(交代と)言われなくて、よしよし、と。信頼がうれしかったし、応えられたのもうれしかった」。昨季3勝を上回る4勝目で自身の負け数に並んだ。「後は自分で貯金をつくれるように頑張りたいです」。素直で柔軟。勝ちを伸ばす力がある。首脳陣もそれを信じている。【鎌田良美】

◆小島和哉(おじま・かずや)1996年(平8)7月7日生まれ。埼玉県出身。浦和学院で甲子園に3度出場、13年センバツで優勝。早大では2、4年秋に最優秀防御率に輝き、リーグ通算22勝。18年ドラフト3位でロッテ入団。昨季は10試合で3勝5敗。今季推定年俸1700万円。177センチ、85キロ。左投げ左打ち。