広島会沢翼捕手(32)が、苦心のリードと2安打5打点で勝利に貢献した。会沢の今季2度目の満塁5号などで6点リードも、中盤に投手陣が失点を重ね、中日に1点差に迫られた。今季の打高投低を示すような試合展開も、再び打線が奮起。会沢の適時打から3点を奪って中日を引き離し、連敗を3で止めた。

   ◇   ◇   ◇

会沢の勝利のハイタッチに、安堵(あんど)感がにじんだ。今季2度目の満塁弾で6回表まで大量リードを奪いながら、その裏に1点差に迫られた。苦心のリードが続く中、8回に中日を引き離す攻撃の口火を切ったのも会沢だった。

「みんながつくってくれたチャンスで、何とか(走者を)かえせて良かった。次に投げる投手が少しでも楽に投げられればと思った」。会沢を中心に、全員でつかんだ勝利。まずは1、2番コンビがプレーボール直後、前夜の0封負けの重い空気を振り払った。1番ピレラが中日先発小笠原の外角球を捉え、右翼席へ来日2度目の初回先頭打者本塁打。2番菊池涼も、左翼席への7号ソロで続いた。4回には、会沢が7月26日DeNA戦以来の満塁弾でリードを6点に広げた。

だが、すんなり終わらないのが今年の広島。5回無失点の野村が6回に変調。代わったケムナも止められず、リードは1点に。3767人を動員した敵地ナゴヤドームの空気は、明らかに中日側に流れた。ただ、投手陣をカバーするのは攻撃陣。6-5の8回。左腕岡田から無死一、二塁とし、会沢の適時二塁打から再びリードを広げた。田中広も28打席ぶり安打となる適時打でつないだ。

苦しいチーム状況で、補い合うしかない。野村が招いたピンチで、3年目ケムナが初めてリードした展開で登板した。新たなポストを託すにはリスクはつきもの。1点リードの7回1死一塁でビシエドの打球を処理し、併殺を狙った島内の二塁送球がそれた。それも二塁・菊池涼がカバーした。4点リードの8回以降も勝ちパターンを投入できたのも、前日の先発九里の踏ん張りがあればこそだ。

攻守に奮闘した会沢は「みんなが同じ方向を向いて戦っていくしかない。1つでも上に上がっていくためにもみんなの力で戦っていきたい」と前を向く。流れを変えるのに、勝利以上の良薬はない。【前原淳】

▽広島島内(1点リードの7回に登板し無安打無失点)「ボール先行の投球になってしまった。内容的に良くなかったが、結果ゼロで終えられて良かった」