エースの仕事だった。日本ハム有原航平投手(28)が西武戦(札幌ドーム)で8回2失点、104球の力投で4勝目を挙げた。

調子が悪いと自認する中で、降板するまで打たせて取る粘りの投球を展開。先発陣の大黒柱として必死な姿でチームを引っ張り、連敗を阻止して再び勝率5割に復帰させた。

   ◇   ◇   ◇

できる限りを尽くしたエースは、盟友の殊勲打を信じて、ベンチ裏へ引き揚げていた。8回を投げ切った有原は、この日の役目が終了。その裏の西川の決勝打が生まれた時は「ちょうどアイシングだったので」と大事な、降板後のケアの時間だった。「でも、打ってくれると思っていたので、よかったです」。自身と同学年のキャプテンの一打で、104球の力投も4勝目という結果で報われた。

チームの連敗阻止に貢献したことが、何よりも大きな仕事だった。「あまり調子はよくなかった」と制球面で不安を抱えながらの投球。1点リードの6回は山川に制球ミスのツーシームをとらえられ、同点打を浴びたが、「粘り強くゴロを打たせられた」。大崩れすることなく、最後まで勝ち越しは許さず、粘った。

そんな姿に7回は二塁手の渡辺、8回は遊撃手の中島が好守備でエースをもり立てた。「今日は守備がすごく助けてくれた」と感謝したが、一塁の守備位置から見守っていた中田は「有原の、ああいう姿勢を見ていたからこそ。エースらしい投球をしてくれた」と逆に感謝。野手陣の奮起は、エースの力強い背中が原動力となっていた。

試合前に栗山監督は「エースという人たちは、調子が悪くても勝つのが仕事」と話していた。その通りに仕事を果たした有原に指揮官も「今の(ブルペンの)状況を考えて長く投げようとしているし、そのために球数を減らしながら必要なボール球もバランスよく投げてくれた」とたたえた。シーズンはまもなく終盤戦。勝負どころで勝利を積み重ねることもエースの仕事だ。逆転優勝へ、ここからが真価発揮の見せ場だ。【木下大輔】