5回2失点。結果としては6敗目となってしまったが、ヤクルト石川雅規投手(40)の投球内容は、数字以上のものを見せていた。

今季の開幕戦と同じ、中日大野雄との投げ合い。バッテリーは、7月3日DeNA戦以来となる嶋基宏捕手(35)とのコンビだった。

初回のピンチを、ベテランバッテリーらしく切り抜けた。2死一、二塁で打席には4番ビシエド。初球は、内角に構えた嶋のミットへカットボール。さらに2球目も、ほぼ同じ場所に直球を投げ込み、一気に2ストライクと追い込んだ。相手の予想していた配球とは違うであろう、石川だから、嶋だからこその攻め方に見えた。最後はカウント2-2から、5球目にワンバウンドした112キロシンカーを振らせて空振り三振を奪った。

その後2死満塁となったが、6番シエラをカウント0-2から内角の直球で見逃し三振とし、無失点でしのいだ。ベンチに向かう石川は、嶋に向かって手を上げてたたえるしぐさをしていた。

3回に甘く入った球を痛打され2失点し、今季2勝目とはならなかった。それでも高津臣吾監督は「ちょっと苦労はしていますけど、そこにこれを投げて打ち取りたいという意思というのは、すごく伝わってくる。考えた投球をしたんじゃないかなと思います」と評価していた。

時折クイックを交えるなどフォームでも相手のタイミングをずらしながら、コースに丁寧に投げ分ける石川。そして、嶋の大胆な組み立て。通算483試合目の登板となった石川と、1414試合目の出場を果たした嶋。合計1897試合分となる百戦錬磨の経験があるからこそ生まれる2人の共同作業は、大きな魅力の1つだ。