まさに今、たくさんの種をまいているところだ。3年間の2軍監督を経て、今年から就任したヤクルト高津臣吾監督(51)は“3カ年計画”の1年目だ。「1年目には種をまき、2年目には水をやり、3年目には花をさかせましょう」。ヤクルトの元監督で、高津監督の恩師でもある野村克也氏の言葉がしっくりくる。

種をまいているのは、戦術や、選手起用だけでない。今季から青木、山田哲、坂口、エスコバーらが全体とは別に早めにアップを行う。ベンチ前でストレッチやダッシュを行い、すぐにティー打撃へ。そして全体のアップが終わってすぐに、フリー打撃が始まる。時間のロスがなくなることはもちろん、練習後に担当スコアラーとのミーティングを個別や少人数で行い、細かな部分に対応できるようにしているという。

改革は、裏方スタッフの仕事にまで及ぶ。ベンチの横に掲げられているホワイトボードには、自チームと相手チームの当日ベンチ入り選手の名前が書かれている。試合前にマネジャーがすべて手書きすることが通例になっていたが、今季途中からヤクルトの選手は、名前が印刷されたマグネットが用意された。高津監督の「毎試合、書くのは大変なのでは」という気遣いから、選手名のマグネットを用意し貼る形式になった。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、異例ずくめの今年。苦戦や反省を糧にして、芽が出るのを待つ。【保坂恭子】