立大最後の打者のライナーが三塁手のグラブに収まると、東大側ベンチでは歓声が起きた。

涙ぐむ選手もいた。18年秋の明大2回戦以来となる引き分け。今季初ポイントとなる0・5点を獲得した。

土壇場の粘りが実を結んだ。0-1の9回、1死から大音周平捕手(3年=湘南)が左前打。次打者の初球に二盗を決めた。井手峻監督(76)は「今日は盗塁かな」と、相手先発のアンダースロー右腕、中川を揺さぶった。

2死二塁となり、梅山遼太右翼手(4年=四日市)が右翼線へ適時二塁打を放った。カーブを捉えた。「前の打席(7回)は直球を打ったので、最後は変化球」と読み切った。その裏を5番手で登板した井沢駿介投手(2年=札幌南)が抑え、引き分けに持ち込んだ。打線の粘りもあったが、勝利を引き寄せたのは井手監督の継投策だ。

ここまでの3カード、1回戦は全て井沢が先発してきたが、ブルペンに待機させた。代わって、これまで2回戦先発を任されていた西山慧投手(2年=土浦一)が1回戦に先発。その西山は初回、2回と走者は背負うも、0で切り抜けた。3回先頭で打席が回ると、代打を送られ降板した。

3回以降は、横山優一郎投手(4年=四日市)小宗創投手(3年=武蔵)奥野雄介投手(3年=開成)が2イニングずつ、投げた。小宗が1点を失うも、最少失点で9回を迎えたことで、土壇場の同点につながった。

井手監督は「最初から決めてました。(狙いは)井沢の抑えです」と説明した。チーム一、安定する井沢をブルペンに配し、同点や逃げ切りの展開になれば、9回だけ任せる。1イニングだけなら、2回戦も先発でいける。

策がはまった井手監督は「引き分けの0・5点でも、大事に取りたい」とうなずいた。もっとも、勝ったわけではない。すぐに「明日また頑張らないといけない。明日また勝ちにいきます」。

梅山も「(大敗した先週の)早大戦のあと、4年生だけで集まり『まだまだ勝ちに向かえるんじゃないか』と話し合いました。これまで、あまりに苦しくて、引き分けた時は涙が出ました。でも、勝って終わらないといけない。1歩、大きな前進ですが、明日につなげないと」と、18日の2回戦で17年秋から続く53連敗のストップを誓った。【古川真弥】