セ界制覇だ! 広島森下暢仁投手(23)が9回4安打1失点(自責点0)の力投でプロ2度目の完投勝利を飾り、9勝目を挙げた。これまで4度の対戦で未勝利だったDeNAに初勝利。球団の新人では97年の黒田博樹以来、23年ぶりにセ・リーグ5球団から白星を挙げる快挙を達成した。

「今日は何が何でも勝つつもりでした。今日にかけてたという言い方はおかしいかもしれないですけど、とにかく勝つという気持ちでやっていました」

気持ちで135球を投げきった。3回に味方の失策も絡んで先制点を献上。しかし4回から8回まで1本もヒットを許さなかった。「勝ちたいという気持ちが勝った」と、終盤の8回にはこの日最速の153キロを計測。最後まで球威が落ちることはなかった。

“二刀流”で勝利を引き寄せた。1-1の同点で迎えた8回、2死から左前打で出塁した菊池涼が二盗に成功。チャンスの場面で森下は外角低め地面すれすれの変化球に食らいつき、逆方向へ。打球は一、二塁間を抜け、菊池涼が生還。自らのバットで決勝点をもぎ取った。「本当にうれしかった」。両手を空に突き上げて喜んだ。

新人王を争う8勝の巨人戸郷に対しては「自分が上回って(新人王を)取りたい。とにかくあと1勝したい」と目をギラつかせた。防御率は巨人菅野を抜き、リーグ2位の2・04となった。昨年ドラフトで広島に1位に指名された際に「新人王を目指します」と宣言してから1年。お立ち台では1年前に今の姿を想像していたかと問われ「びっくりです」と笑った。念願のタイトルへ突っ走る。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(森下について) 言うことなし。本当に素晴らしいとしかいいようがない。ずっと真っすぐもよかったし、技術、メンタルの面でも全てにおいて1年目とは思えない。今日の勝ちは自分もうれしい。

▽広島沢崎投手コーチ(森下について) 本当にナイスピッチング。(新人王は)もう目の前の登板に全力を尽くすだけ。

▽広島鈴木誠(1点を追う5回2死一、二塁から左前への同点適時打) 森下が頑張っているので同点につながって良かったです。