偉大な先輩と同じく、北の大地で飛躍する。

日本ハム育成1位の花巻東(岩手)松本遼大投手(18)が5日、花巻市内の同校で指名あいさつを受け、エンゼルス大谷翔平(26)を目標に掲げた。188センチ、96キロの本格派右腕で最速148キロ直球を投げ込み、6種類の多彩な変化球も操るなど、伸びしろは無限大だ。まずは支配下登録を目指し、球界のスターへと駆け上がっていく。

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3年前、中学3年生だった松本は大谷に憧れを持った。「体の使い方など、学ぶ部分がたくさんあった。大谷さんの姿を見て、自分は花巻東を選んだ」と背中を追い続けてきた。大谷の著書「不可能を可能にする大谷翔平120の思考」は何度も読み返すなど、バイブルにする1冊だ。先輩と同じ日本ハムのユニホームに袖を通すことに「少しでも近づいていけるように、頑張りたい」と気持ちを引き締めた。プロで使用するグラブはオーダーメードしており、大谷が1年目で使用していたモデルと同じ、アシックスの青色だ。

将来の先発柱として期待されている。出席した担当の白井康勝スカウト(51)は「指先の感覚であったり、教えられないものを持っている。経験を積んでいけば、必ずファイターズの戦力になる」。腕のしなやかさ、柔らかさは日本ハム上沢と重ね合わせた。松本は「3年後には、1軍の舞台で投げたい」。23年春に開業予定の新球場で鮮烈デビューを飾ってみせる。

支えてくれた家族に、感謝の気持ちを忘れない。岩手・滝沢市出身で3人姉弟(きょうだい)の末っ子。母忍さんからは、大好物のカレーやふりかけを下宿先に届けてもらい食事面でのサポートを受けた。それをおかずに白米をたいらげ、スカウトも評価する体格の礎となった。松本は「両親には『プロ野球選手になる』と宣言して、花巻東に入った。1つの夢はかなえられたので、これからは恩返ししたい」と誓った。父直樹さんからは「1軍で投げられるようになってこそ、プロ野球選手だ」とエールをもらった。同じ大型右腕として、大先輩も歩んだ超一流への道を駆け上がる。【佐藤究】